戦艦タナガーin太平洋

みにみ

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第三次ソロモン沖海戦 第一夜戦

タナガー抜錨 鉄底海峡へ

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1942 11/12 1300 日本海軍トラック泊地

「錨をあげろぉぉ!」

「機関に火をいれろ 可燃物は陸にあげろ!あと三十分で出るぞ!」

「人数確認を行え,配置についたものは休息とってよし」

巨大な錨がガラガラと音を立てながら水上に顔を出し
2本の煙突からは黒い煙が立ち上る

それは十一戦隊の比叡,霧島も同じだった
タナガーよりも遥かに小さい元巡洋戦艦の2隻も
出撃の用意を整えつつをあった

「砲口栓外せぇ!」

真鍮製の栓を外し,射撃用意よし

「艦長,霧島より発光信号 我出撃用意良シ 貴艦トタナガー出撃用意宜シケレバ出撃ス」

「タナガーへ発光信号 1320出撃 それまでに用意完了せよ」

「了解!」



「比叡より発光信号 1320出撃 ソレマデニ用意完了セヨ とのことです」

「各班に連絡 用意良しの班は応答せよ」

艦内に張り巡らされた電話が各部署につながり
連絡を取る

「確認完了 全班用意よしとのことです」

「了解 機関始動 両舷原速 このまま泊地を出る 比叡にもそう伝えよ」



「タナガーの移動を確認 霧島も移動を開始しました」

「了解 機関科員へ 機関始動 原速12ノットで泊地を出る 護衛艦隊にも送れ」

鋼鉄の獣が3隻
トラックの海をかき分け進み始めた



…………………
11/12 2012 ソロモン沖 日本艦隊



輪形陣を組み,26ノットで鉄底海峡に侵入した日本艦隊は
駆逐艦が警戒するなか霧島,比叡の2隻が主砲に三式弾を装填
射撃の用意を行う

タナガーも製造したばかりの40.6センチ用の新型三式弾を搭載し
ヘンダーソン飛行場へ砲口を向ける

その時だった

「対艦レーダーに感あり!距離約30キロ 総数13!」

「主砲三式弾レーダー反応に向けて射撃用意 次弾からは通常徹甲弾!射撃開始!」

「了解!比叡,霧島への連絡は!?」

「あと回しだ 先手必勝 射撃開始後に報告しろ」

「承知 主砲左砲戦 三式弾のままうちーかーたよーい 目標レーダー反応」

三基九門の巨砲が何も見えない海上へ向く

グォォォォォン

そして,砲身が仰角をとったと思うと
轟音を立てて射撃した


ドォォォォォォン


「次弾装填急げ!日本艦隊全艦へ通達 左砲戦40度敵艦隊距離30000!」

「了解 左砲戦40度敵艦隊距離約30000」

霧島は早くも通信を理解し左に転舵しようとしている
小回りのきく小型艦はすでに増速して向かっている

「とりーかーじいっぱーい」

「とりーかーじいっぱーい!」

副長が復唱し,舵取機室へと伝え
270mの巨体が旋回する


「最大戦速33ノット 敵艦隊へ向かえ」

タナガーの立てる白波が大きくなる

「次弾装填完了!ってー」

ドォォォォォォン


まだ,鉄底海峡の地獄の夜は始まったばかり
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