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時の内閣、時の長官

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2027年1月2日

呉地方総監部 会議室

そこには、大和艦長、有賀幸作 第二艦隊長官、伊藤整一
自由民主党内閣総理大臣、大泉泰次郎、防衛大臣、佐藤広次がいた

「とりあえず、今改装工事を行なっていますが
 自衛隊への編入ということに間違いはないですかな」

「えぇ…この世界に来てしまった我々には
 こうするしかない、もとい、日本のために船乗りになったのです
 未来の日本を救うことになんの気掛かりがありましょうか」

「ありがたい… 各艦の改修工事はハイピッチ…大急ぎで進めております
 2月下旬には呉基地回航隊の艦艇は矢矧を除いて完成するかと」

「完成後は…沖縄奪還でしょうか」

「その前に九州に上陸されることも考えられる 15旅団は11月下旬に壊滅している
 2年前のように在日米軍がいたら良かったのだが……」


2023年11月の衆議院総選挙で自民党は多くの議席を失い
内閣は自民、公明党から
れいわ、立憲、社民、共産という末期みたいな
状況へと変化した
2024年2月に日米安保条約を破棄し
沖縄や本土から在日米軍を追い出した
その5ヶ月後に与党の金に関する不祥事が明らかになり
自民党にあれだけ言っていたのにという国民の不満が爆発し
総解散 結果的に自民党に政権が帰ってきたのだが…

米国はもう取り合ってくれず、沖縄が容易に占領される原因となってしまった
まぁ過ぎてしまったことはどうにもならない

「………そうですか」

「まぁ米国は物資は売ってくれます それだけはまだマシかと」

伊藤長官は米国の強大な補給力や物資、資源の量を身をもって知っている
隔月正規空母に月刊軽空母、それを超えて日刊駆逐艦を作る
化け物みたいな国だ

「沖縄奪還の作戦の目処はあるのですか?」

「本土防衛用にいずもを旗艦とする
 一個機動艦隊第一水上艦隊を佐世保に配置します
 残りの艦隊、大和を旗艦とする第五水上艦隊、第二、第四水上艦隊を
 呉沖から出撃させ、九州東方を南下 沖縄へ向かいます この大規模艦隊の中に
 輸送艦隊、おおすみ型3隻、高速フェリー改装輸送艦はくおうに
 陸上自衛隊部隊を搭載し同行させます
 かが、天城、葛城によるFー35とイージス艦による防空網を作り
 敵艦隊、航空隊の防御網を突破 大和による艦砲射撃で敵上陸部隊を半壊させ
 その後陸上自衛隊を上陸させてという作戦です」

「ほう………」

「燃料は前大戦と違ってまだ豊富にあります十分働けるかと」

「そちらの護衛艦の最大速力は」

「だいたい、公表30ノット、実力32~3ノットです」

「最大戦速を出すと伊勢型が置いていかれるかもしれんな」

「伊勢、日向は護衛艦を何隻か直掩につけて第二次上陸隊を積もうかと」

「確かに、他の艦とは違って格納庫がある 北号作戦でも輸送できていたしな」

「伊勢、日向は各造船所で後部の改修を行なっています
 格納庫から直接揚陸艇を発進できるように格納庫後部にスロープをつけています」

「ふむ…なかなかいいな して、敵艦隊の概要はいかに?
 大和を超える戦艦があれば大和とて勝てませぬ」

「戦艦という艦種は絶滅しました 航空母艦がこの海上の主役です
 最後のアイオワ級も今はアメリカ本土で博物館に」

「やはり…戦艦の時代は終わったか」

「敵艦隊は、3隻の空母に駆逐艦50、フリゲート…水雷艇の進化版のようなのが57
 我らよりもはるかに強大です」

「全てを差し向けてくることはないだろうから
 実質こちらの二倍と言ったところか」

「えぇ」

「意外とどうにかなりそうだ」


「総理、お時間です 今から東京に戻らねば国会に間に合いません」

「そうか、すまない長官 また来る」

「宜候 最後に一言良いでしょうか?」

「あぁ」

「この第一遊撃部隊はこの時代では死んだも同然
 好きに扱ってくだされ 言われた任務の二倍の戦果は残しましょう
 首相官邸で大戦果をお待ちください」

「任せたぞ」


「有賀艦長」

「はっ」

「あの総理は…いいやつだな」

「ハハッ 正直ものすぎて疲れている節が見えましたな」

「あの馬鹿正直なやつを見ると助けたくなる…人の性かな」

「えぇ 中国に目にもの見せてやりましょう」

「さて、時間も余っていることだし、お忍びで呉の町の散策でも行くか」
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