44 / 402
ルモン大帝国編
79.妹かい? 弟かい?
しおりを挟む
「いえ、卵を抱っこするのに、枝の間に挟んでいるよりも安定するかと思いまして」
「ああ、なるほどね。ぬか喜びしちゃったよー」
乾いた笑い声を上げるノムルの表情には、わずかに残念そうな色が含まれていた。
雪乃は飛竜から貰った卵を、ローブの中で抱え続けている。枝に挟んでいるので手は自由に使えるが、負担にならないわけではない。
卵を孵すためには、誰かが抱き続けていなければならないと、ナルツが教えてくれたのだ。
「でもこれ、大人用ですよね? 私でも使えそうな大きさのものは、売ってないのでしょうか?」
雪乃は店内を探し歩くが、他にはないらしい。一周して戻ってきた雪乃は、うーんと考え込む。
「聞いてみれば?」
「そうですね」
店の隅で椅子に座っていた店員の下に行き、雪乃にも使えるサイズがないか尋ねる。
「それなら隣で気に入った布を買ってきてくれれば、すぐに作ってあげるわ」
「午後の機関車に乗るんだけど、間に合う?」
「布端を始末するだけだから、五分もかからないわよ」
カラカラと笑う店主の女性によると、隣の布屋は彼女の親が経営していて、事情を話せば適当な布を見繕ってくれるそうだ。
さっそく雪乃は、隣の布屋に向かった。
店番をしていたおばあさんは、雪乃とノムルを交互に見て、目を細める。
「そうだねえ、お譲ちゃんが一人で抱っこするのは、まだ危ないものね。あれなら安心して抱っこできるよ。妹かい? 弟かい?」
何か勘違いされている気もしたが、説明も面倒なので、そのままにしておくことにした。
「まだ生まれていないので、分かりません」
「おや、そうかい。楽しみだねえ」
「……」
まだ卵だ。飛竜の子供の性別は分からない。だから嘘は言っていないのだが、雪乃の心はちくちくと痛んだ。
後ろで必死に笑いを堪えている男には、理解できない痛みだろう。
おばあさんは、頑丈な、しかし厚すぎない布を、幾つか見繕ってくれた。その中から雪乃は、青緑色の布を選ぶ。
「やっぱりユキノちゃんも、緑色が好きなの?」
雪乃のローブも深緑色だ。
「『も』?」
と、言葉尻が気になって顔を向ければ、ノムルのローブも草色、杖にはめ込まれた宝石も緑色だった。
系統は違うが、二人は揃って緑系のローブに身を包んでいる。
「緑色が好きなのは認めますが、この布を選んだのは、お母さんの色に似ていたからです」
青緑色の輝く鱗を持った、緋色の瞳の飛竜。卵を雪乃に託して飛んでいってしまったが、深手を負っても卵を残して逃げようとは考えず、最後まで守ろうとしていた。
少しでも母親を感じてほしくて、飛竜の鱗と同じ色を選んだのだ。
「なるほど。ユキノちゃんは優しいね。良い子に育てくれて、パパは嬉しいよ」
「……」
にこにこと微笑んでいるおばあさんの手前、雪乃はつっこみたい気持ちを、全神経を総動員して押さえ込んだ。体がふるふると震えるが、ぐっと耐える。
購入した布を持って隣のお店に戻ると、目にも留まらぬ手さばきで、布端を三つ折にして始末してくれた。
あまりの高速縫いに、ノムルが感嘆の声を漏らしたほどだ。
それから留め具をはめ、使い方を教えてくれた。
「これで手を放しても、赤ちゃんが落ちることはないわよ。でも赤ちゃんは重たいから、気を付けてね」
店主は朗らかに笑いかける。それから、
「お父さんとお母さんの分は?」
と、ノムルを見た。
「んー、俺はなくても問題なく抱き上げられるし? お母さんも怪力だから、いらないと思うよー」
「……」
飛竜ですからね。とは流石に口には出さなかったが、雪乃は店主から視線を逸らす。
「ついでにクッションも貰える? この子の分と、赤ん坊用のふかふかのやつ」
「もちろんですよ」
二種類のクッションも買い、二人は店を出た。
空を見上げれば、太陽は随分と上まで昇っている。
「そろそろギルドに戻って、駅に向かおうか?」
「はい」
適当に街を観光した雪乃とノムルは、冒険者ギルドへと戻り、機関車の切符を受け取って駅に向かう。
なぜか職員と冒険者たちが揃って敬礼をして見送ってくれたのが、印象的だった。
†
大きな荷物を背負った人、従者を連れた貴族、意気揚々と歩く冒険者……。
オーレンの駅は、予想以上に混雑を極めていた。
機関車が通っているとはいえ、終点である。つまりは国の端っこ。人は少ないと踏んでいたのだが、予想に反していた。
「ユキノちゃん、はぐれないでねー」
きょろきょろと辺りを見回している雪乃を、ノムルは楽しそうに見守っている。もちろん、行き交う人々が雪乃にぶつからないよう、雪乃の周囲には透明な障壁を設けてある。
慣れた足取りで進むノムルを、雪乃は必死に追いかける。
とてとてと付いて来る雪乃を、ノムルは楽しそうに視界の端に留めた。
小さな雪乃に気付かない大人たちの足や荷物が、雪乃に何度もぶつかりかける。けれどぶつかる前に何かが弾いてくれることに気付き、雪乃はノムルを見上げた。
「ありがとうございます」
「どういたしましてー」
差し出された手に枝を添え、二人は手をつないで駅の中を進んで行く。
「さて、ユキノちゃんは『エキベン』って知ってる?」
「駅で売っているお弁当ですね。ご当地料理が詰まっています」
「……。薬草と食べ物の知識だけは豊富だねえ」
なぜか目から生気がなくなっているノムルに、雪乃はぽてんと幹を傾げた。
考えてみれば、駅弁は日本の文化であり、他国の中にも導入している駅もあるというが、あまり多くはないと聞く。異世界に駅弁文化があるというのは、異例かもしれない。
「ちぇー。ユキノちゃんが面白がるかと思って、昼飯を食べずに来たのにー」
「それはすみませんでした」
昼食を取っていないことは気付いていたのだが、この世界では一日二食も珍しくはない。ノムルも旅の間は、昼食を抜く日も多かった。
今日はお汁粉も食べたので腹が空かないのかと思っていたのだが、違ったようだ。
ノムルは売店に立ち寄り、駅弁を一つ購入する。駅弁は一種類しかなく、焼いた川魚と野菜の煮物、コンメがセットになったシンプルなものだ。
駅弁を片手に、ホームへと向かった。
「じゃあさー、エキベンの始まりって知ってる?」
「駅弁の始まり、ですか?」
答えられない雪乃を見て、ノムルはニヤリと口角を上げる。
「ある冒険者がね、機関車に乗ったときに、『エキベンが無いなんて!』って叫んだのが始まりなんだってー」
「……」
雪乃は思った。
それは間違いなく、プレイヤーですね、と。
「ああ、なるほどね。ぬか喜びしちゃったよー」
乾いた笑い声を上げるノムルの表情には、わずかに残念そうな色が含まれていた。
雪乃は飛竜から貰った卵を、ローブの中で抱え続けている。枝に挟んでいるので手は自由に使えるが、負担にならないわけではない。
卵を孵すためには、誰かが抱き続けていなければならないと、ナルツが教えてくれたのだ。
「でもこれ、大人用ですよね? 私でも使えそうな大きさのものは、売ってないのでしょうか?」
雪乃は店内を探し歩くが、他にはないらしい。一周して戻ってきた雪乃は、うーんと考え込む。
「聞いてみれば?」
「そうですね」
店の隅で椅子に座っていた店員の下に行き、雪乃にも使えるサイズがないか尋ねる。
「それなら隣で気に入った布を買ってきてくれれば、すぐに作ってあげるわ」
「午後の機関車に乗るんだけど、間に合う?」
「布端を始末するだけだから、五分もかからないわよ」
カラカラと笑う店主の女性によると、隣の布屋は彼女の親が経営していて、事情を話せば適当な布を見繕ってくれるそうだ。
さっそく雪乃は、隣の布屋に向かった。
店番をしていたおばあさんは、雪乃とノムルを交互に見て、目を細める。
「そうだねえ、お譲ちゃんが一人で抱っこするのは、まだ危ないものね。あれなら安心して抱っこできるよ。妹かい? 弟かい?」
何か勘違いされている気もしたが、説明も面倒なので、そのままにしておくことにした。
「まだ生まれていないので、分かりません」
「おや、そうかい。楽しみだねえ」
「……」
まだ卵だ。飛竜の子供の性別は分からない。だから嘘は言っていないのだが、雪乃の心はちくちくと痛んだ。
後ろで必死に笑いを堪えている男には、理解できない痛みだろう。
おばあさんは、頑丈な、しかし厚すぎない布を、幾つか見繕ってくれた。その中から雪乃は、青緑色の布を選ぶ。
「やっぱりユキノちゃんも、緑色が好きなの?」
雪乃のローブも深緑色だ。
「『も』?」
と、言葉尻が気になって顔を向ければ、ノムルのローブも草色、杖にはめ込まれた宝石も緑色だった。
系統は違うが、二人は揃って緑系のローブに身を包んでいる。
「緑色が好きなのは認めますが、この布を選んだのは、お母さんの色に似ていたからです」
青緑色の輝く鱗を持った、緋色の瞳の飛竜。卵を雪乃に託して飛んでいってしまったが、深手を負っても卵を残して逃げようとは考えず、最後まで守ろうとしていた。
少しでも母親を感じてほしくて、飛竜の鱗と同じ色を選んだのだ。
「なるほど。ユキノちゃんは優しいね。良い子に育てくれて、パパは嬉しいよ」
「……」
にこにこと微笑んでいるおばあさんの手前、雪乃はつっこみたい気持ちを、全神経を総動員して押さえ込んだ。体がふるふると震えるが、ぐっと耐える。
購入した布を持って隣のお店に戻ると、目にも留まらぬ手さばきで、布端を三つ折にして始末してくれた。
あまりの高速縫いに、ノムルが感嘆の声を漏らしたほどだ。
それから留め具をはめ、使い方を教えてくれた。
「これで手を放しても、赤ちゃんが落ちることはないわよ。でも赤ちゃんは重たいから、気を付けてね」
店主は朗らかに笑いかける。それから、
「お父さんとお母さんの分は?」
と、ノムルを見た。
「んー、俺はなくても問題なく抱き上げられるし? お母さんも怪力だから、いらないと思うよー」
「……」
飛竜ですからね。とは流石に口には出さなかったが、雪乃は店主から視線を逸らす。
「ついでにクッションも貰える? この子の分と、赤ん坊用のふかふかのやつ」
「もちろんですよ」
二種類のクッションも買い、二人は店を出た。
空を見上げれば、太陽は随分と上まで昇っている。
「そろそろギルドに戻って、駅に向かおうか?」
「はい」
適当に街を観光した雪乃とノムルは、冒険者ギルドへと戻り、機関車の切符を受け取って駅に向かう。
なぜか職員と冒険者たちが揃って敬礼をして見送ってくれたのが、印象的だった。
†
大きな荷物を背負った人、従者を連れた貴族、意気揚々と歩く冒険者……。
オーレンの駅は、予想以上に混雑を極めていた。
機関車が通っているとはいえ、終点である。つまりは国の端っこ。人は少ないと踏んでいたのだが、予想に反していた。
「ユキノちゃん、はぐれないでねー」
きょろきょろと辺りを見回している雪乃を、ノムルは楽しそうに見守っている。もちろん、行き交う人々が雪乃にぶつからないよう、雪乃の周囲には透明な障壁を設けてある。
慣れた足取りで進むノムルを、雪乃は必死に追いかける。
とてとてと付いて来る雪乃を、ノムルは楽しそうに視界の端に留めた。
小さな雪乃に気付かない大人たちの足や荷物が、雪乃に何度もぶつかりかける。けれどぶつかる前に何かが弾いてくれることに気付き、雪乃はノムルを見上げた。
「ありがとうございます」
「どういたしましてー」
差し出された手に枝を添え、二人は手をつないで駅の中を進んで行く。
「さて、ユキノちゃんは『エキベン』って知ってる?」
「駅で売っているお弁当ですね。ご当地料理が詰まっています」
「……。薬草と食べ物の知識だけは豊富だねえ」
なぜか目から生気がなくなっているノムルに、雪乃はぽてんと幹を傾げた。
考えてみれば、駅弁は日本の文化であり、他国の中にも導入している駅もあるというが、あまり多くはないと聞く。異世界に駅弁文化があるというのは、異例かもしれない。
「ちぇー。ユキノちゃんが面白がるかと思って、昼飯を食べずに来たのにー」
「それはすみませんでした」
昼食を取っていないことは気付いていたのだが、この世界では一日二食も珍しくはない。ノムルも旅の間は、昼食を抜く日も多かった。
今日はお汁粉も食べたので腹が空かないのかと思っていたのだが、違ったようだ。
ノムルは売店に立ち寄り、駅弁を一つ購入する。駅弁は一種類しかなく、焼いた川魚と野菜の煮物、コンメがセットになったシンプルなものだ。
駅弁を片手に、ホームへと向かった。
「じゃあさー、エキベンの始まりって知ってる?」
「駅弁の始まり、ですか?」
答えられない雪乃を見て、ノムルはニヤリと口角を上げる。
「ある冒険者がね、機関車に乗ったときに、『エキベンが無いなんて!』って叫んだのが始まりなんだってー」
「……」
雪乃は思った。
それは間違いなく、プレイヤーですね、と。
0
お気に入りに追加
3,549
あなたにおすすめの小説
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。