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22.王子
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「まさか、王子様に危害を加えるつもりだったのではないわよね?」
女の声が呟く。
「そういえばさっき、王子様のことを呼び捨てにして叫んでいたわ」
「なんと、恐ろしい」
人々の話は次々と尾鰭が加えられていく。
「違う、違うわ」
シャルは懸命に否定するが、もう、誰にもその声は届かなかった。
「何の騒ぎだ?」
馬上から発せられた声に、群衆の波が割れる。
上位の軍人と思われる男は、騎乗したまま波の割れ目を覗く。
先には一人の少女が蹲っていた。
「何があった?」
馬上の軍人が聞くが、誰も答えず俯いた。
「何があったのか、と聞いている」
軍人はシャルの近くに立っていた男の一人を睨んだ。睨まれた男は口籠りながらも答える。
「この子供が、王子様に危害を加えようとしていたみたいです」
「違う」
シャルは否定するが、もう声にもならない。
「真か?」
軍人の問に、シャルは首を横に振って答える。
部下らしき軍人が走り寄り、シャルに触れようとした。
「いけない」
鋭い声が飛ぶ。
軍人達は声の主に視線を向けた。
「そいつは異端の能力者です。触れた人間を異形の姿に変えてしまう」
シャルを立たそうと伸ばしていた軍人の手が、瞬時に引っ込んだ。相手の能力によっては優れた武人ですら命を奪われ兼ねないことを、彼等はよく知っている。
馬上の軍人が近くの部下に何かを囁いた、その直後である。
「その必用はない」
聞こえてきた声に、シャルは顔を上げる。
少年が馬から降りて、彼女に向かって歩いて来る。
「殿下」
騎乗していた軍人達も馬から降り、少年を止めようと声を掛けるが、少年は軽く片手を上げてそれを制止した。
少年はシャルの前に膝を折ると、手を差し伸べた。
「なりません」
軍人が制止する声と、人々が息を飲む音が鳴り止むと、辺りは静寂に包まれた。
「大丈夫だ、出迎えに感謝する」
少年はシャルの頬を優しく撫でる。
「ゼノ」
先程までの恐怖が瞬時に消え去る。安堵から、耐えていた涙が一気にこぼれ落ちた。しかし、震えは止まらない。
――違う。
シャルは気付く。震えているのはシャルではなく、ゼノの手であることに。
「もう、大丈夫です」
シャルは顔を上げると、ゼノの目を見て笑って見せた。
ゼノはシャルの瞳からその意味を読み取ると、頷いて手を引いた。
「私に何か変わりあったか?」
ゼノは見守る群衆達を見回すと、不敵に笑みを浮かべる。
「行くぞ」
颯爽と馬上に戻ると、隊列と共に進み出した。
人々は茫然とその後ろ姿を見送る。
シャルは人々に気付かれないよう、静かにその場を去った。
※
手にはまだ、温かい涙の感触が残っている。
ゼノは月明かりの下で、己の手を見つめていた。
彼女の姿を見た時は、動揺した。己の正体を彼女に知られる恐怖に、身がすくんだ。震えて踞る彼女を気遣うよりも、彼女に知られたくない一心で、その場を立ち去ろうとしたのだ。
「最低、だな」
ゼノは薄く笑う。
血に汚れた手よりも、穢れているのは己の心だ。
「大丈夫かい? ゼノ」
柔らかな声に、ゼノは心を消して振り向く。
「怪我をしたそうだね。父上に、ゼノを戦場に送らないようにお願いしたのに、聞いてくれないのだよ」
言ってセスは口を尖らす。
「御心配ありがとうございます。大した怪我ではありませんから」
胸に右手を当て、臣下の礼を取る。
「そう? クラムも役立たずだよね。凄腕の軍人だったって聞いてたからゼノを任せたのに、怪我させるなんてさ。バドルもゼノを戦線に出すなんて、何を考えているのだか」
苦々しく言いながらゼノの隣に立つと、月を見上げた。わずかに欠けた丸い月に、セスの輪郭が浮かびあがる。
「クラムがいたから、この程度で済んだのです。よく働いてくれました。それに私は軍人ですから、戦線に出ることは当然のことですよ」
言ってゼノは笑みを作る。
「それは建前だよ。ゼノは私の弟なのだから、危険なことをする必用はないんだ」
頬を膨らませて、顔を近付けた。まるで幼子のようだ。
「大丈夫ですよ、兄上。もう二度とこのような失態は犯しませぬから」
「うん、本当に無茶しないでね。私の寿命が縮まってしまうから」
心の底から心配したのだと、セスは胸に手を当て、ゼノを上目遣いに見る。
「それは困りました。兄上には末永く、この国を支えて頂かなければなりませんから」
「おや? 心配なのは国のことかい?」
大きな目をくるりと瞬かせて、ゼノの顔を覗き込んだ。
「無論、兄上がお元気で有らせられることが前提です。兄上の御為とあらば、ゼノはどのような戦場にも参りましょう」
「私はお前に、戦場には出てほしくないのだけれども」
頬を膨らませて、セスはゼノを睨んだ。ゼノは微笑を崩さない。
「仕方ない。じゃあ、緋龍国と戦になっても、私のために戦ってくれるかい?」
「無論です、兄上」
即答したゼノに、セスは満足気な笑顔を広げる。
緋龍国にはゼノの亡き母の姉が嫁いでいた。故に緋龍国第一皇子の緋凰は、ゼノの従兄弟にあたる。
この従兄弟とセスは、幼い頃から馬が合わない。物腰柔らかく、武芸を学ぶより花や装飾品を好むセスに対し、緋凰は花や衣装には興味を持たない武人気質の少年だった。
正直なところ、ゼノはセスよりも緋凰のほうに好感を抱いていた。ゼノも緋凰と同じく武人であり、セスの嗜好は理解できずにいるのだから。
「殿下、このような所におられましたか」
従者が現れ、セスに戻るように告げた。
「もう少し話したかったのに」
頬を膨らませたセスは従者に文句を言い、ゼノの腕に自分の腕を絡ませる。
「なりません、殿下」
従者はセスをたしなめた。この場にはもう一人『殿下』がいるのだが、そのことを気にする素振りはない。
王族近くに使える従者達にとって、殿下はセス一人なのだから。
「仕方ない。またね、ゼノ」
「はい、どうぞ良き夢を」
「うん」
笑顔で手を振りながら、セスは去っていく。その姿が消えるまで、ゼノも笑みを顔に浮かべて、小さく手を振り続けた。
セスの姿が見えなくなると、ゼノの顔からは笑みが消えた。
深く息を吐き、空を見上げる。彼女もこの月を見ているだろうか、それとも。
ゼノはくすりと笑う。
きっともう、眠っているのだろう。木の寝台の中で。
「凍えてなければ良いのだが」
春はもう、そこまで来ている。しかし朝はまだ冷え込む。叶うならば、彼女に温かい寝具を、と月に願った。
女の声が呟く。
「そういえばさっき、王子様のことを呼び捨てにして叫んでいたわ」
「なんと、恐ろしい」
人々の話は次々と尾鰭が加えられていく。
「違う、違うわ」
シャルは懸命に否定するが、もう、誰にもその声は届かなかった。
「何の騒ぎだ?」
馬上から発せられた声に、群衆の波が割れる。
上位の軍人と思われる男は、騎乗したまま波の割れ目を覗く。
先には一人の少女が蹲っていた。
「何があった?」
馬上の軍人が聞くが、誰も答えず俯いた。
「何があったのか、と聞いている」
軍人はシャルの近くに立っていた男の一人を睨んだ。睨まれた男は口籠りながらも答える。
「この子供が、王子様に危害を加えようとしていたみたいです」
「違う」
シャルは否定するが、もう声にもならない。
「真か?」
軍人の問に、シャルは首を横に振って答える。
部下らしき軍人が走り寄り、シャルに触れようとした。
「いけない」
鋭い声が飛ぶ。
軍人達は声の主に視線を向けた。
「そいつは異端の能力者です。触れた人間を異形の姿に変えてしまう」
シャルを立たそうと伸ばしていた軍人の手が、瞬時に引っ込んだ。相手の能力によっては優れた武人ですら命を奪われ兼ねないことを、彼等はよく知っている。
馬上の軍人が近くの部下に何かを囁いた、その直後である。
「その必用はない」
聞こえてきた声に、シャルは顔を上げる。
少年が馬から降りて、彼女に向かって歩いて来る。
「殿下」
騎乗していた軍人達も馬から降り、少年を止めようと声を掛けるが、少年は軽く片手を上げてそれを制止した。
少年はシャルの前に膝を折ると、手を差し伸べた。
「なりません」
軍人が制止する声と、人々が息を飲む音が鳴り止むと、辺りは静寂に包まれた。
「大丈夫だ、出迎えに感謝する」
少年はシャルの頬を優しく撫でる。
「ゼノ」
先程までの恐怖が瞬時に消え去る。安堵から、耐えていた涙が一気にこぼれ落ちた。しかし、震えは止まらない。
――違う。
シャルは気付く。震えているのはシャルではなく、ゼノの手であることに。
「もう、大丈夫です」
シャルは顔を上げると、ゼノの目を見て笑って見せた。
ゼノはシャルの瞳からその意味を読み取ると、頷いて手を引いた。
「私に何か変わりあったか?」
ゼノは見守る群衆達を見回すと、不敵に笑みを浮かべる。
「行くぞ」
颯爽と馬上に戻ると、隊列と共に進み出した。
人々は茫然とその後ろ姿を見送る。
シャルは人々に気付かれないよう、静かにその場を去った。
※
手にはまだ、温かい涙の感触が残っている。
ゼノは月明かりの下で、己の手を見つめていた。
彼女の姿を見た時は、動揺した。己の正体を彼女に知られる恐怖に、身がすくんだ。震えて踞る彼女を気遣うよりも、彼女に知られたくない一心で、その場を立ち去ろうとしたのだ。
「最低、だな」
ゼノは薄く笑う。
血に汚れた手よりも、穢れているのは己の心だ。
「大丈夫かい? ゼノ」
柔らかな声に、ゼノは心を消して振り向く。
「怪我をしたそうだね。父上に、ゼノを戦場に送らないようにお願いしたのに、聞いてくれないのだよ」
言ってセスは口を尖らす。
「御心配ありがとうございます。大した怪我ではありませんから」
胸に右手を当て、臣下の礼を取る。
「そう? クラムも役立たずだよね。凄腕の軍人だったって聞いてたからゼノを任せたのに、怪我させるなんてさ。バドルもゼノを戦線に出すなんて、何を考えているのだか」
苦々しく言いながらゼノの隣に立つと、月を見上げた。わずかに欠けた丸い月に、セスの輪郭が浮かびあがる。
「クラムがいたから、この程度で済んだのです。よく働いてくれました。それに私は軍人ですから、戦線に出ることは当然のことですよ」
言ってゼノは笑みを作る。
「それは建前だよ。ゼノは私の弟なのだから、危険なことをする必用はないんだ」
頬を膨らませて、顔を近付けた。まるで幼子のようだ。
「大丈夫ですよ、兄上。もう二度とこのような失態は犯しませぬから」
「うん、本当に無茶しないでね。私の寿命が縮まってしまうから」
心の底から心配したのだと、セスは胸に手を当て、ゼノを上目遣いに見る。
「それは困りました。兄上には末永く、この国を支えて頂かなければなりませんから」
「おや? 心配なのは国のことかい?」
大きな目をくるりと瞬かせて、ゼノの顔を覗き込んだ。
「無論、兄上がお元気で有らせられることが前提です。兄上の御為とあらば、ゼノはどのような戦場にも参りましょう」
「私はお前に、戦場には出てほしくないのだけれども」
頬を膨らませて、セスはゼノを睨んだ。ゼノは微笑を崩さない。
「仕方ない。じゃあ、緋龍国と戦になっても、私のために戦ってくれるかい?」
「無論です、兄上」
即答したゼノに、セスは満足気な笑顔を広げる。
緋龍国にはゼノの亡き母の姉が嫁いでいた。故に緋龍国第一皇子の緋凰は、ゼノの従兄弟にあたる。
この従兄弟とセスは、幼い頃から馬が合わない。物腰柔らかく、武芸を学ぶより花や装飾品を好むセスに対し、緋凰は花や衣装には興味を持たない武人気質の少年だった。
正直なところ、ゼノはセスよりも緋凰のほうに好感を抱いていた。ゼノも緋凰と同じく武人であり、セスの嗜好は理解できずにいるのだから。
「殿下、このような所におられましたか」
従者が現れ、セスに戻るように告げた。
「もう少し話したかったのに」
頬を膨らませたセスは従者に文句を言い、ゼノの腕に自分の腕を絡ませる。
「なりません、殿下」
従者はセスをたしなめた。この場にはもう一人『殿下』がいるのだが、そのことを気にする素振りはない。
王族近くに使える従者達にとって、殿下はセス一人なのだから。
「仕方ない。またね、ゼノ」
「はい、どうぞ良き夢を」
「うん」
笑顔で手を振りながら、セスは去っていく。その姿が消えるまで、ゼノも笑みを顔に浮かべて、小さく手を振り続けた。
セスの姿が見えなくなると、ゼノの顔からは笑みが消えた。
深く息を吐き、空を見上げる。彼女もこの月を見ているだろうか、それとも。
ゼノはくすりと笑う。
きっともう、眠っているのだろう。木の寝台の中で。
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