続・聖玉を継ぐ者

しろ卯

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エピローグ

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 かつて、この世界には多くの国が乱立していた。その中でも緋龍とギリカは二大国家と呼ばれていた。
 しかしギリカは多くの国で禁じられていた、奴隷制度や聖石の売買、麻薬などが流通し暗い噂が耐えなかったという。
 セントーン国もまた、その魔手に蝕まれていた。
 当時はまだ王子だったゼノ王とセス公は、ギリカの陰謀を打ち破らんと立ち上がる。ギリカの王族から嫁いでいた先代王妃を断罪し、傀儡と化していた王から王位を剥奪後、辺境へと封じた。
 その後、ゼノ王が王位に就く。

 この戴冠に関して、一部の貴族から批判があったというが、これを説き伏せたのは玉座を約束されていたはずの、第一王子であったセス公であった。
 セス公は初めから王位を継ぐ気はなく、実母とその背後にいるギリカを抑えた後は、ゼノ王を玉座に据えるつもりであったと貴族たちに告白する。
 王位を得たゼノ王は、即座にギリカへ遺憾の意を示す。ギリカはこれを侮辱と捉え、セントーンへ進軍を開始した。
 ゼノ王自ら軍を率いて迎え撃った戦いは、セントーン国の勝利に終わる。その戦いにおいて数多の戦功を挙げた漆黒の将軍は、世界中にその武勇を馳せることとなる。
 かの緋龍国皇帝までもが彼の将軍を欲し、幾度もゼノ王に申し入れ、ついには自身の妹姫を嫁がせたと言われる。
 しかしこの将軍に関しての資料は少なく、またゼノ王が王位に付く前に将軍に就いていた事から、ゼノ王のことではないかと推察されている。

 敗戦したギリカの民は、セントーン国に叛意を示すどころか、新たな指導者となったゼノ王を歓待した。
 これにはゼノ王の后である聖女と、彼女に使える巫女たちが民たちに与えた、祝福と恩恵が大きく関わっている。彼女たちは、飢える者のために作物の実る豊かな畑を与え、傷や病を患っているものには治癒の石能を注いだ。
 それらの善行はギリカとセントーンのみならず、世界中に伝わることとなる。
 多くの国はセントーンとの同盟を望み、圧制を敷く国は、セントーンとその同盟国によって解体されていった。
 その際、民を戦に巻き込むことなく、腐敗した王族貴族たちのみが取り除かれたという。

 けれどこの偉業には多くの謎があり、実際には軍によって制圧されたのではないかという説を唱える学者もいる。しかしどの文献にも、その様な事実は一切記載されていない。
 ゼノ王の近辺に、策略に優れていた者がいたのではないかという説が一般的だが、圧倒的な石能によって、王族貴族たちのみを排除したのではないかという説も論じられている。



 ――こうして世界から争いは消え、全ての国がセントーンを中心とした連合国となったのです」

 そこで鐘が鳴った。
 教師は資料を手早くまとめると、教室を出て行った。








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最後までお付き合いくださりありがとうございました。

明日からは、セスと蝶緋の番外編『純粋無垢な王子は笑顔で敵を排除する』を掲載予定です。
後半コミカルな短めのお話になっています。
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