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71.教会の外
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「良かったのか? 中に入らなくて」
教会の外、警備に当たっているはずの左軍大将は、持ち場を部下に任せて教会の横へと回った。
あえて開けておいた警備の穴に、一人の男がたたずんでいる。
「ここで充分ですよ。あの中に入れるような身分ではありませんから」
ハンスは笑う。
彼の石能を使えば、姿は見えずとも、中の様子は分かる。
「そんなもん、なんとでもなるだろう?」
顔をしかめて言うライの表情も、柔らかかった。
主役の二人に次いで、この日を待ちわびていた人間が誰かなんて、考えるまでもない。
「もしもお前がただのハンスに戻っても、あいつの兄はお前だ。俺じゃない」
ハンスは目を瞠る。ライはそのまま持ち場へと戻っていった。
ふわりと笑んだハンスは、壁の向こうに想いを馳せる。
教会から出たシャルとゼノは、馬車に乗せられ街の中を進む。誰が指示したわけでもないのに、民衆は沿道に駆けつけ、祝福の言葉を競い合うように投げかけた。
「凄い」
若干身を強張らせるシャルの手に、ゼノは優しく己の手を乗せる。
「皆が祝福してくれているのだ。末永く共にあらねばな」
これから待ち受ける最後の試練を思い、シャルの瞳が揺れた。しかしそれも一瞬。
愛する者と共に生きると決めたシャルは、笑顔を返す。
「ええ。必ず」
絡み合う指に力を込め、二人は未来を勝ち取るために前へと進む。
王都を包む祝福の歓声は、戦場からの凱旋よりも大きく、喜びに満ち溢れていた。
その様子を遠く王宮から見下ろしていた王妃は、扇を握り締め、ぎりりと歯を鳴らす。
王宮まで届く声は、我が子セスの婚礼で見た光景よりも、いや、自身が嫁いできた時よりも、格段に大きい。
「どうして? 私のほうが優れていたはずなのに! セスには我がギリカの教育を施してやったというのに。なぜあの女が生んだ子が、これほどまで支持される? なぜ?!」
噛みしめた唇が、赤く染まっていく。
「王妃よ、また戦に勝利したのか?」
玉座に座る男は、虚ろな瞳で尋ねた。その姿を見て、王妃は冷静さを取り戻す。
「ええ、我が国に戦いを挑む愚か者など、全て滅ぼしますわ」
笑みを浮かべ、王妃は国王の隣に座りしなだれかかる。
「ですから、あなたはこれ以上、重責に苦しむことはないのです。早くセスに王位を譲りなさいませ」
耳元でささやく王妃に、何か言おうと口を開いた国王だったが、声が紡がれることはなかった。
王妃の笑顔は、美しい顔からこぼれ落ちた。
婚礼の儀式を終えてから開かれた披露宴には、大勢の賓客が集っていた。
急に決まった婚礼、更にはこの婚姻が、王族としてのものではないと伝えていたにも関わらず。
それでもゼノを慕う者は多く、また花嫁の後ろ盾となった緋龍の若き皇帝へのご機嫌伺いをと、国内外を問わず、多くの者が駆けつけたのだ。
彼らは国王の子息でありながら、国の力を借りることのできない王子がどれほどのことをして持て成すのかと、大なり小なり好奇心を抱いていた。
しかしそれは、良い意味で裏切られることとなる。
「王宮に比べれば、確かに会場の広さは劣る。しかしこの会場を彩る調度品はどうだ。どれも一級どころか、国宝級のものばかりではないか。しかも遠方のもの、すでに失われた技術と言われる骨董まで、まさに眼福と言う他ない」
「セントーンの伝統を守っていながら、更なる飛躍を遂げた、この料理の数々。これほどの美味を味わえるとは。嗚呼、国に帰って今までのように食事が咽を通るだろうか?」
風の民が用意した調度品は、どれも一国の王族でさえ、一つ手に入れられれば歓喜するほどの品ばかりだ。
目の肥えた王族貴族たちでさえ、感嘆の声を漏らし続けている。
そして会場に用意された食事もまた、絶品の域を超えていた。
ゼノから全てを任されたハンスは、元料理長と共に、最高の料理を提供してみせたのだ。
セントーン随一の料理人と、緋龍の皇族の舌まで唸らせたハンスが、腕によりを掛けた品々だ。一口含んだだけで、至福の時が訪れることは間違いない。
もちろん、
「この美しい菓子、食べるのがもったいないほどの細工ね」
「ですがどうかお召し上がりになってみて。頬がとろけてしまいそうだわ。ああ、お土産にいただけないかしら」
ハンス渾身の菓子も、客人たちを虜にしていた。
「えげつねえな」
「その言葉はそのままお返ししますよ。えげつない感想ですね」
慌しく駆け回る調理場で、ハンスは一瞬だけ手を止める。会場から抜け出してきた大将は、調理場でつまみ食いに勤しんでいた。
「会場でお食べになれば良いでしょう?」
「それができるならここに来ない。俺は警備の任務中で、客じゃないからな。食ってるのがばれたら、後でクラムの爺さんに絞られる」
「ここで食べるのはいいんですか? 任務を放棄して」
職務怠慢や不法侵入、どう考えても良くはない。
「ハンス! 手を休めるな!」
「へーい」
飛んできた雷に、返事をしたハンスの口元が緩む。こうして怒鳴られるのも、ずいぶんと久しぶりだ。
「オヤジ、俺の菓子のほうが評判が良いらしいぜ?」
「調子に乗るな! 女子供が飯より菓子が好きなのは常識だ」
「ちっ」
ライから仕入れた情報を口に乗せれば、ぴしゃりと反撃された。舌打ちして悔しがるハンスを、ライは珍しいものが見れたと口笛を吹いて冷やかす。
「さて、腹も膨れたし、戻るとするか」
「しっかり護ってくださいね」
「任せとけ」
軽く右手を挙げたライの姿が、厨房から掻き消える。遠ざかっていく匂いに、ハンスはわずかに意識を向けた。
本来ならば、シャルに兄と呼ばれるはずだった男。
「それでも俺は――」
宴が終われば、聖玉はあるべき姿に戻される。古の記憶を失った時、シャルはハンスを受け入れてくれるのか。
「ハンス!」
「へーい」
元料理長の怒声に、ハンスは意識を手元へ戻す。
今すべきことは、考えることではない。シャルの婚礼を祝いに来た人に、礼を尽くすこと。
そして、婚礼への祝いという名を借りてシャルを利用しようとしに来たものを、骨抜きにすること。
「料理ってのは、剣よりも強いんですよ」
踊るような指先から次々と生み出される、口福を呼ぶ宝石の数々が、銀の皿を美しく飾り立て運ばれていった。
教会の外、警備に当たっているはずの左軍大将は、持ち場を部下に任せて教会の横へと回った。
あえて開けておいた警備の穴に、一人の男がたたずんでいる。
「ここで充分ですよ。あの中に入れるような身分ではありませんから」
ハンスは笑う。
彼の石能を使えば、姿は見えずとも、中の様子は分かる。
「そんなもん、なんとでもなるだろう?」
顔をしかめて言うライの表情も、柔らかかった。
主役の二人に次いで、この日を待ちわびていた人間が誰かなんて、考えるまでもない。
「もしもお前がただのハンスに戻っても、あいつの兄はお前だ。俺じゃない」
ハンスは目を瞠る。ライはそのまま持ち場へと戻っていった。
ふわりと笑んだハンスは、壁の向こうに想いを馳せる。
教会から出たシャルとゼノは、馬車に乗せられ街の中を進む。誰が指示したわけでもないのに、民衆は沿道に駆けつけ、祝福の言葉を競い合うように投げかけた。
「凄い」
若干身を強張らせるシャルの手に、ゼノは優しく己の手を乗せる。
「皆が祝福してくれているのだ。末永く共にあらねばな」
これから待ち受ける最後の試練を思い、シャルの瞳が揺れた。しかしそれも一瞬。
愛する者と共に生きると決めたシャルは、笑顔を返す。
「ええ。必ず」
絡み合う指に力を込め、二人は未来を勝ち取るために前へと進む。
王都を包む祝福の歓声は、戦場からの凱旋よりも大きく、喜びに満ち溢れていた。
その様子を遠く王宮から見下ろしていた王妃は、扇を握り締め、ぎりりと歯を鳴らす。
王宮まで届く声は、我が子セスの婚礼で見た光景よりも、いや、自身が嫁いできた時よりも、格段に大きい。
「どうして? 私のほうが優れていたはずなのに! セスには我がギリカの教育を施してやったというのに。なぜあの女が生んだ子が、これほどまで支持される? なぜ?!」
噛みしめた唇が、赤く染まっていく。
「王妃よ、また戦に勝利したのか?」
玉座に座る男は、虚ろな瞳で尋ねた。その姿を見て、王妃は冷静さを取り戻す。
「ええ、我が国に戦いを挑む愚か者など、全て滅ぼしますわ」
笑みを浮かべ、王妃は国王の隣に座りしなだれかかる。
「ですから、あなたはこれ以上、重責に苦しむことはないのです。早くセスに王位を譲りなさいませ」
耳元でささやく王妃に、何か言おうと口を開いた国王だったが、声が紡がれることはなかった。
王妃の笑顔は、美しい顔からこぼれ落ちた。
婚礼の儀式を終えてから開かれた披露宴には、大勢の賓客が集っていた。
急に決まった婚礼、更にはこの婚姻が、王族としてのものではないと伝えていたにも関わらず。
それでもゼノを慕う者は多く、また花嫁の後ろ盾となった緋龍の若き皇帝へのご機嫌伺いをと、国内外を問わず、多くの者が駆けつけたのだ。
彼らは国王の子息でありながら、国の力を借りることのできない王子がどれほどのことをして持て成すのかと、大なり小なり好奇心を抱いていた。
しかしそれは、良い意味で裏切られることとなる。
「王宮に比べれば、確かに会場の広さは劣る。しかしこの会場を彩る調度品はどうだ。どれも一級どころか、国宝級のものばかりではないか。しかも遠方のもの、すでに失われた技術と言われる骨董まで、まさに眼福と言う他ない」
「セントーンの伝統を守っていながら、更なる飛躍を遂げた、この料理の数々。これほどの美味を味わえるとは。嗚呼、国に帰って今までのように食事が咽を通るだろうか?」
風の民が用意した調度品は、どれも一国の王族でさえ、一つ手に入れられれば歓喜するほどの品ばかりだ。
目の肥えた王族貴族たちでさえ、感嘆の声を漏らし続けている。
そして会場に用意された食事もまた、絶品の域を超えていた。
ゼノから全てを任されたハンスは、元料理長と共に、最高の料理を提供してみせたのだ。
セントーン随一の料理人と、緋龍の皇族の舌まで唸らせたハンスが、腕によりを掛けた品々だ。一口含んだだけで、至福の時が訪れることは間違いない。
もちろん、
「この美しい菓子、食べるのがもったいないほどの細工ね」
「ですがどうかお召し上がりになってみて。頬がとろけてしまいそうだわ。ああ、お土産にいただけないかしら」
ハンス渾身の菓子も、客人たちを虜にしていた。
「えげつねえな」
「その言葉はそのままお返ししますよ。えげつない感想ですね」
慌しく駆け回る調理場で、ハンスは一瞬だけ手を止める。会場から抜け出してきた大将は、調理場でつまみ食いに勤しんでいた。
「会場でお食べになれば良いでしょう?」
「それができるならここに来ない。俺は警備の任務中で、客じゃないからな。食ってるのがばれたら、後でクラムの爺さんに絞られる」
「ここで食べるのはいいんですか? 任務を放棄して」
職務怠慢や不法侵入、どう考えても良くはない。
「ハンス! 手を休めるな!」
「へーい」
飛んできた雷に、返事をしたハンスの口元が緩む。こうして怒鳴られるのも、ずいぶんと久しぶりだ。
「オヤジ、俺の菓子のほうが評判が良いらしいぜ?」
「調子に乗るな! 女子供が飯より菓子が好きなのは常識だ」
「ちっ」
ライから仕入れた情報を口に乗せれば、ぴしゃりと反撃された。舌打ちして悔しがるハンスを、ライは珍しいものが見れたと口笛を吹いて冷やかす。
「さて、腹も膨れたし、戻るとするか」
「しっかり護ってくださいね」
「任せとけ」
軽く右手を挙げたライの姿が、厨房から掻き消える。遠ざかっていく匂いに、ハンスはわずかに意識を向けた。
本来ならば、シャルに兄と呼ばれるはずだった男。
「それでも俺は――」
宴が終われば、聖玉はあるべき姿に戻される。古の記憶を失った時、シャルはハンスを受け入れてくれるのか。
「ハンス!」
「へーい」
元料理長の怒声に、ハンスは意識を手元へ戻す。
今すべきことは、考えることではない。シャルの婚礼を祝いに来た人に、礼を尽くすこと。
そして、婚礼への祝いという名を借りてシャルを利用しようとしに来たものを、骨抜きにすること。
「料理ってのは、剣よりも強いんですよ」
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