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40.可愛い妹や愛する姉が
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可愛い妹や愛する姉が、幸せになれぬ地になど嫁がせたくはない。しかもこの婚姻により緋龍が受ける恩恵は、無いに等しいのだ。
それでも受け入れたのは、皇帝となった緋凰が気に掛けている従兄弟のことを、弟妹たちも気遣ってくれてのことだった。
大国を背負って立たなければならない緋凰の心の負担を、少しでも減らすための、いわば祝儀と言えなくも無い。
「ちょっと蓮緋、私は?」
そこに、玉緋が声を荒げた。
蝶緋を心配する言葉が並べられているが、セントーンに嫁ぐ予定なのは蝶緋だけではない。玉緋も共に嫁ぐことに決まっていたのだ。
蓮緋は先ほどまでの悲しげな表情を一変させた。
「あら、玉緋なら大丈夫よ。殿方の愛情など不要でしょうし、セス王子にも向かっていくでしょう? 心配があるとすれば、王子達に怪我を負わせて、外交問題にならないかという点かしら?」
蓮緋は眉尻を下げ、さも不安だとばかりに表情を曇らせる。
「あんたね、私を何だと思っているのよ?」
睨みつける玉緋にも、蓮緋は澄ました顔だ。
姉妹達の間から忍び笑いが漏れた。玉緋と蓮緋の小競り合いは、彼女たちにとっては見慣れた光景だった。
緋凰の隣に座る、長く真っ直ぐな髪をたらした鳳緋が、ふうっと溜め息をもらした。皇女よりも皇妃と呼んだほうがしっくりきそうな、美しさと気高さを兼ね備えた女だった。
彼女はすでに二十代も終わりを迎えようとしており、結婚適齢期を過ぎている。
婚約の申し込みは方々からあり、未だに途切れることはないが、彼女は全てを断わっていた。
「私達より、当事者である玉緋と蝶緋の意見はどうなの?」
長女の鳳緋の言葉を聞き、姉妹達の視線は玉緋と蝶緋に集まった。
「私は構わないわ。アリスの事は気に入っているし、元々ゼノのことを好きだった訳でもないから」
玉緋の答えに鳳緋は頷き、次いで蝶緋を見た。
「わ、私は」
皆の視線を集め、蝶緋は耳まで紅くしてうつむいている。発した声も上ずっていた。
「蝶緋、遠慮する事はないの。正直に言いなさい」
鳳緋に促がされ、蝶緋はこくりと息を飲む。それから目を瞑ると、力を込めて声を発した。
「わ、私は、セントーンに、行きたい、です」
消え入るような小さな声だったが、蝶緋の答えに、姉妹達は顔を見合わせる。
「蝶緋、あなたゼノ王子のことが好きだったの?」
問われた蝶緋は視線をさ迷わせた後、俯けていた顔を更に俯けた。
「そう。では私は、アリスさんをゼノ王子に嫁がせることには、反対させて頂きますわ」
蝶緋の意思を知った蓮緋は、すぐさま掌を返した。姉妹の幾人かも、蓮緋に倣う。
「どうして? ゼノに嫁ぐのは二人って決めていたのだから、私の代わりにアリスが嫁げば良いでしょう?」
玉緋は不思議そうに首を傾げ、蓮緋に反論する。それに対し、蓮緋は呆れたように、ため息混じりの声を出す。
「玉緋は本当に子供ね。そのアリスって娘は、ゼノ王子の寵愛を受けているのでしょう? そんな娘を共に嫁がせられる、蝶緋の気持ちも考えなさいな」
「複数の妻を持つのは普通でしょ? アリスが嫁がなくても、他の娘を寵愛するかもしれないし、気にする事ないわよ」
理解していない玉緋の言葉に、蓮緋だけでなく他の姉妹たちも、呆れたように口を開けた。
「玉緋、あなたね」
「お止めなさい」
口論になりかけた玉緋と蓮緋を、鳳緋が諌める。
「緋凰兄様、ゼノ王子とアリスさんには気の毒ですが、このお話には反対させて頂きます」
腕を組みまぶたを落として成り行きに耳を傾けていた緋凰が、目を開ける。
「分かった。アリスには他の方法を考えよう」
凰緋の結論に、緋凰は鷹揚に頷いた。
玉緋は不満気に唇を尖らしていたが、端で傍聴させてもらっていたシャルは、安堵していた。
†
将軍寮に用意された部屋の、寝台に腰を下ろしたエリザは、深い溜め息を吐いた。
セスと共にゼノの元を訪れた翌日、ゼノが彼女の館に訪ねてきた。
歓待する親子に対し、ゼノはエリザを妻に迎える気は無く、セスの提案に従いエリザが将軍寮に移るのであれば、自分は将軍寮を出ていくと告げた。
それを聞いたエリザの父母は、エリザに考え直すように諭した。しかしエリザは、頑として聞き入れなかった。
すでに邪魔な女神官も遠ざけている。
後はエリザがゼノに真心を伝え続ければ、必ずゼノの心は自分に向くはずだと、自負していた。
そして意気込んで将軍寮に入ったその日、ゼノは前言通り、エリザと入れ替わりに将軍寮を出ていった。
本当に出ていってしまった事に驚いたが、その時はまだ、すぐに戻って来ると楽観していた。
けれどその日以来、ゼノは軍人たちの宿舎に部屋を取り、将軍寮には帰って来なかった。
エリザは将軍寮に戻ってほしいと、幾度も文を送った。しかしゼノからの返信は、一通も届いていない。
将軍寮に移った初めの頃に、一度だけセスが顔を見せた。だが彼も、それ以降は訪れる事はなかった。
使用人達も、陰ではエリザを嘲笑していることに、彼女も気付いている。
以前のエリザならば、迷う事無く咎めただろう。だが今では咎めるどころか、恥ずかしく感じてしまう。
おのずと使用人達の前を、足早に通り過ぎるようになっていた。
日に日に孤独感が強くなっていく。
「情けない。私はゼノ様が唯一、御心を許してくれている女なのよ?」
自分を叱咤するが、それさえ虚しく感じた。
たとえ女として愛されてはいなくとも、ゼノはエリザに対して、特別な扱いをしてくれていた。
共に暮らせば部下ではなく、女としてエリザを見、愛してくれるだろうと信じていた。
それが現実は、愛されるどころか、部下としての信頼さえ失ってしまった気がしてくる。
寝台に体を横たえ、溜め息を吐く。
今さら家に戻るわけにはいかない。さりとて軍には更に身の置き場はないのだろう。だがここに居座り続ける事が、正しい選択かと考えると、そうとも思えなかった。
エリザが居る限り、ゼノは将軍寮には戻らないだろう。
すでに社交界にも噂が広がっているかもしれないと思うと、顔から火を吹きそうだった。
せめて誰か相談に乗ってはくれないだろうかと思うが、このような事を話せる相手は思い浮かばなかった。
唐突に、以前、将軍寮にいた神官の女を思い出した。今は兄共々緋龍にいると聞いているが、あの娘ならば、エリザを嘲笑うことなく話を聞いてくれるのではないかと思えた。
それでも受け入れたのは、皇帝となった緋凰が気に掛けている従兄弟のことを、弟妹たちも気遣ってくれてのことだった。
大国を背負って立たなければならない緋凰の心の負担を、少しでも減らすための、いわば祝儀と言えなくも無い。
「ちょっと蓮緋、私は?」
そこに、玉緋が声を荒げた。
蝶緋を心配する言葉が並べられているが、セントーンに嫁ぐ予定なのは蝶緋だけではない。玉緋も共に嫁ぐことに決まっていたのだ。
蓮緋は先ほどまでの悲しげな表情を一変させた。
「あら、玉緋なら大丈夫よ。殿方の愛情など不要でしょうし、セス王子にも向かっていくでしょう? 心配があるとすれば、王子達に怪我を負わせて、外交問題にならないかという点かしら?」
蓮緋は眉尻を下げ、さも不安だとばかりに表情を曇らせる。
「あんたね、私を何だと思っているのよ?」
睨みつける玉緋にも、蓮緋は澄ました顔だ。
姉妹達の間から忍び笑いが漏れた。玉緋と蓮緋の小競り合いは、彼女たちにとっては見慣れた光景だった。
緋凰の隣に座る、長く真っ直ぐな髪をたらした鳳緋が、ふうっと溜め息をもらした。皇女よりも皇妃と呼んだほうがしっくりきそうな、美しさと気高さを兼ね備えた女だった。
彼女はすでに二十代も終わりを迎えようとしており、結婚適齢期を過ぎている。
婚約の申し込みは方々からあり、未だに途切れることはないが、彼女は全てを断わっていた。
「私達より、当事者である玉緋と蝶緋の意見はどうなの?」
長女の鳳緋の言葉を聞き、姉妹達の視線は玉緋と蝶緋に集まった。
「私は構わないわ。アリスの事は気に入っているし、元々ゼノのことを好きだった訳でもないから」
玉緋の答えに鳳緋は頷き、次いで蝶緋を見た。
「わ、私は」
皆の視線を集め、蝶緋は耳まで紅くしてうつむいている。発した声も上ずっていた。
「蝶緋、遠慮する事はないの。正直に言いなさい」
鳳緋に促がされ、蝶緋はこくりと息を飲む。それから目を瞑ると、力を込めて声を発した。
「わ、私は、セントーンに、行きたい、です」
消え入るような小さな声だったが、蝶緋の答えに、姉妹達は顔を見合わせる。
「蝶緋、あなたゼノ王子のことが好きだったの?」
問われた蝶緋は視線をさ迷わせた後、俯けていた顔を更に俯けた。
「そう。では私は、アリスさんをゼノ王子に嫁がせることには、反対させて頂きますわ」
蝶緋の意思を知った蓮緋は、すぐさま掌を返した。姉妹の幾人かも、蓮緋に倣う。
「どうして? ゼノに嫁ぐのは二人って決めていたのだから、私の代わりにアリスが嫁げば良いでしょう?」
玉緋は不思議そうに首を傾げ、蓮緋に反論する。それに対し、蓮緋は呆れたように、ため息混じりの声を出す。
「玉緋は本当に子供ね。そのアリスって娘は、ゼノ王子の寵愛を受けているのでしょう? そんな娘を共に嫁がせられる、蝶緋の気持ちも考えなさいな」
「複数の妻を持つのは普通でしょ? アリスが嫁がなくても、他の娘を寵愛するかもしれないし、気にする事ないわよ」
理解していない玉緋の言葉に、蓮緋だけでなく他の姉妹たちも、呆れたように口を開けた。
「玉緋、あなたね」
「お止めなさい」
口論になりかけた玉緋と蓮緋を、鳳緋が諌める。
「緋凰兄様、ゼノ王子とアリスさんには気の毒ですが、このお話には反対させて頂きます」
腕を組みまぶたを落として成り行きに耳を傾けていた緋凰が、目を開ける。
「分かった。アリスには他の方法を考えよう」
凰緋の結論に、緋凰は鷹揚に頷いた。
玉緋は不満気に唇を尖らしていたが、端で傍聴させてもらっていたシャルは、安堵していた。
†
将軍寮に用意された部屋の、寝台に腰を下ろしたエリザは、深い溜め息を吐いた。
セスと共にゼノの元を訪れた翌日、ゼノが彼女の館に訪ねてきた。
歓待する親子に対し、ゼノはエリザを妻に迎える気は無く、セスの提案に従いエリザが将軍寮に移るのであれば、自分は将軍寮を出ていくと告げた。
それを聞いたエリザの父母は、エリザに考え直すように諭した。しかしエリザは、頑として聞き入れなかった。
すでに邪魔な女神官も遠ざけている。
後はエリザがゼノに真心を伝え続ければ、必ずゼノの心は自分に向くはずだと、自負していた。
そして意気込んで将軍寮に入ったその日、ゼノは前言通り、エリザと入れ替わりに将軍寮を出ていった。
本当に出ていってしまった事に驚いたが、その時はまだ、すぐに戻って来ると楽観していた。
けれどその日以来、ゼノは軍人たちの宿舎に部屋を取り、将軍寮には帰って来なかった。
エリザは将軍寮に戻ってほしいと、幾度も文を送った。しかしゼノからの返信は、一通も届いていない。
将軍寮に移った初めの頃に、一度だけセスが顔を見せた。だが彼も、それ以降は訪れる事はなかった。
使用人達も、陰ではエリザを嘲笑していることに、彼女も気付いている。
以前のエリザならば、迷う事無く咎めただろう。だが今では咎めるどころか、恥ずかしく感じてしまう。
おのずと使用人達の前を、足早に通り過ぎるようになっていた。
日に日に孤独感が強くなっていく。
「情けない。私はゼノ様が唯一、御心を許してくれている女なのよ?」
自分を叱咤するが、それさえ虚しく感じた。
たとえ女として愛されてはいなくとも、ゼノはエリザに対して、特別な扱いをしてくれていた。
共に暮らせば部下ではなく、女としてエリザを見、愛してくれるだろうと信じていた。
それが現実は、愛されるどころか、部下としての信頼さえ失ってしまった気がしてくる。
寝台に体を横たえ、溜め息を吐く。
今さら家に戻るわけにはいかない。さりとて軍には更に身の置き場はないのだろう。だがここに居座り続ける事が、正しい選択かと考えると、そうとも思えなかった。
エリザが居る限り、ゼノは将軍寮には戻らないだろう。
すでに社交界にも噂が広がっているかもしれないと思うと、顔から火を吹きそうだった。
せめて誰か相談に乗ってはくれないだろうかと思うが、このような事を話せる相手は思い浮かばなかった。
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