銀と灰の世界

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プロローグ

#5

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 落ち着いて考えよう。取り敢えず、本当に今日は土曜日みたいだ。どうしてかはわからないけど全く知らない間に2日が経過している。その間僕の周りには何の変化もない。そうだ、他のやつにも確認してみよう。
 まず影奈と健二だ。僕の様子に何か変な事があればあの二人なら気づいているはずだ。
 まずは、影奈だな。登校中に僕がどういう様子だったかなら聞ける。
 プルルルルルル。
 
「おかけになった電話は現在出る事ができません。御用の方は留守電にどうぞ。」

 と、影奈の声が入っていた。なんであいつ自分で音声設定してるんだ。まあいいや。留守電だとややこしくなりそうだから後でかけ直すか。
 次は健二だな。
 プルルルルルル。現在出ることができません。おかけになった電話は、

「なあ健二、アホな事してないでちょっといいか?」

 はやってんのか、それ。

「なんだよ、ツッコミはなしか。はいはい。それでなんだ?土曜日の昼だってのに、もう少し寝かせてくれ」

「ああ、すまん、急に。変な事聞くけどさ。昨日なんかあったか?変わった事というか、おかしなこと。」

「なんだそりゃ。漠然としすぎてなんこっちゃわからねえよ。」

「悪い。それもそうだな。・・・昨日の俺どんな感じだった?なんというか、普段どおりだったか?」

「おいおい、自分のことを俺に聞くなんてどうしたんだ?思春期特有の自分探しか?」

「いや、そうじゃなくて、・・・あのさ、昨日のことが思い出せないんだ。」

「・・・マジか」

「ああ、マジなんだ。昨日過ごしたことがまったく思い出せない」

「・・・頭でも打ったのか?なんというか、リアルで」

「そういう感じじゃないんだけどな。とにかくちょっと昨日の様子を聞かせて欲しい」

「そうか、昨日は、そうだなあ、いつも通りだったぜ。お前。」

「いつも通り?」

「ああ、今思えば気味悪いくらい何もなくて、いつもどおりだった。ちょっとうまくいえねえけど」

「とにかくさ、普通に過ごしていたぜ、お前。俺や他のやつとも話したりしてさ。」

 健二はどこか昨日の方角を見て考えるように話した。

「そうか、わかった。ありがとう」

「なんか他に、できることとか、ねえか?」

 心配したように声をかけてくる。健二は本当に根っこからいい奴でできてる。こんな友人のいることに自分が恵まれていると今日ほど感じたことはない。

「いや、とりあえずはそれだけ聞けたら十分だ。サンキュ。また気になることがあったら聞くよ」

「おう。まあ、はやいとこ治るといいな」

「うん。じゃあ」

「おう」

 ・・・プー、プー、プー。
さて、よくわからないけど、とにかく僕の周りでは何事もなかったことがわかった。それじゃあ、俺の中の問題ってことか。

 あれから母さんにも話して、病院に行ってみた。でも、病気らしいところは頭の何処にも見つからなくて。精神的なものかもしれないと言われた。
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