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しおりを挟む「まったく…聞けば聞くほど酷い姉だな」
「…そうみたいですね」
ぽんぽんと頭を撫でるルーク
慰めてくれているのだろう…頭の上にあった大きな彼の手を頬に擦り寄せる
「すっかりゾッコンなようだ」
ケイレブの視線の先にはルークのパタパタと揺れる尻尾が映っていた
「兄さん…アリシアを国に送り返すのですか?」
生唾を飲み込みケイレブを見つめるアリシア
「送り返す?まぁ、言い方はどうあれそうですね…」
顎に手を置き考える仕草をするケイレブ
「そんな!」
「まぁ落ち着いて。戻って来てほしいと近隣の国中に呼びかけているのは、貴女のお父上ですよ」
「…え?」
お父様が?妹を殺しかけた獣として手配されている私に…戻ってきてほしい?
「アリシア様…貴女の妹君、ルビー様が昨晩目を覚ましました」
「え!?!」
「その際、すぐに貴女を心配していたそうですよ…そして次に証言を始めたそうです」
「証言…」
「はい。第1皇女スカーレット様が自分を呼び出し、炎を使って貴女を怯えさせ、貴女の爪先が届く距離まで無理矢理自分を近づけ…
貴女は誤って自分を傷つけてしまっただけなのだと」
「っ…!ルビー…」
「皇帝はどうやら、妹君の話を信じたようだ…第1皇女は今、地下牢へ幽閉されているそうです」
ルビーが生きていた…しかも、私を庇ってくれている
自分を傷つけた事に変わりない私を…
父も私を信じ、帰りを待ってくれている
「アリシア」
見上げると優しく微笑むルークがアリシアを見つめている
「辛かったろ…よく頑張ったな」
「…っはい」
ポロポロと涙を零しルークの胸に顔を埋める
外は晴天となり、キラキラと小さな粒が空中を舞う天気雨が降っていた
✿❀✿❀✿❀✿❀✿❀✿❀✿❀
「国に帰るのか?アリシア」
2人きりになった部屋でアリシアを後ろから包み込みながら問うルーク
「…帰ってほしいですか?」
「…ずるいぞ」
冗談ですよ、と微笑むアリシア
「ところで、私の魔法って…」
「これは俺と兄さんの見解だが、天候の類だと思う」
天候の魔法…第2皇女のフィオナは風を操るが、それの上位に位置するその魔法は、どの国にとっても重宝される魔法
歴代の皇族にもその魔法を使えた者は記録されていなかった
「私にそんな力が…」
「まだ不安定だから、お前の心境に左右されているのだろうが、上手くコントロールできるようになれば好きな時に雨を降らせたり晴天にすることも出来るだろう」
「凄い、ですね」
「他人事だな」
ふっと頭上で笑い声を出すルーク
パタッ…パタッ…と一定のリズムで彼の尻尾が椅子に打ち付けられる
どうやらご機嫌のようだ
「ちなみにその魔法、土地も豊かにできるはずだぞ」
だから暫くは作物不足で困ることもないな、とアリシアの国まで気にかけてくれるルークの優しさに胸が満たされる
「…沢山、調べてくださったのですね」
「お前の為だからな」
ぶっきらぼうな言い方で一見冷たくも見えるが
言葉の節々に見える優しさと相手を思いやる温かい彼
種族は違えど、私たちの間には確かに愛が育まれていた
そして…
「アリシア」
艶っぽい声で私を呼ぶルーク
段々とわかってきた…これは、合図だ
彼を見上げるアリシアは近づく彼の大きな口に応えるように自分の口を薄く開く
✿❀✿❀✿❀✿❀✿❀✿❀✿❀
「っ…ルークさ、ん」
「すっかり俺の形を覚えたようだな…」
ずっぽりとアリシアの蜜穴に埋められた肉棒は尚も大きくなり続け、奥へ奥へとアリシアを求めている
「っ」
ルークに抱き抱えられたアリシアは目の前でピクピクと動く彼の耳にかぶりつく
「ア、リシア…?」
かぷかぷと甘噛みを続けるアリシア
「そうやって煽って…抑えが、効かなくなるぞ…っ」
「んむっ!」
ズンッと最奥を突かれ視界がチカチカと揺れる
「あっ、あ…っああん…っん」
何度も、何度も、アリシアの中にはルークの子種が注がれ零れそうになると蓋をするようにまた何度も、何度も、再奥まで突かれた
「…ルークさん」
「なんだ?」
寝転ぶアリシアをその大きな体ですっぽりと抱き包むルークを見上げ、彼に問う
「一緒に、私の国へ来ていただけませんか…?」
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