ヴァーチャル・ラブ ~いつもあなたを好きでした。~

楠瀬 飛鳥

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本編

教訓

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今日は、目まぐるしい1日だった。
午後から、官庁へ行く。今年度の事業案の検討である。

『自分の言いたいことは言う!』
これが僕の仕事での信条だ。

今回の全ての意向を話すと、全ての話を終わった段階で先方に言われた。
「いつも、いろんなことを考えているんですね?先日、官庁内で会議があって、あなたの話が上がったんですよ。年輩方々は、今どきの人にしては珍しく骨っぽい奴だって言ってました。ああいう人が活性という言葉に繋がる人だって、感心してましたよ。」誉められられているんだろうけど、あまり嬉しくはない。

「そうですか、ありがとうございます。では、もっと私の話を聞いて下さい。そして、私の提起する問題を検討して下さい。それでは、今日はこの辺で、、、。」

そう残して、官庁を後にした。ホームでふと思った。『もしかしたら、ささやかながら、日本に於ける我が業界に貢献しているのかもしれない。もしかしたら、長年続いた制度を変えることができるのかもしれない。』そう思うと少し、やる気のようなものが生まれてきた。

事務所に戻るといつものごとく山のような仕事。
しかし、先程の気分のままのせいか効率が良い。

そんな時に以外なメールが届いた。貴子だ!
『あんなにメールしてたのに、忘れるわけないじゃん!私、そんないい加減な奴じゃないよ。そんなふうにしか見てくれてなかったんだね。わかりました。幸せになって下さい。それじゃ、これで最後のメールにします。体に気をつけて、これからもお仕事頑張ってください。お元気で、さようなら・・・貴子』

『?』『なんでこうなるんだ?』
頭の中が“?”でいっぱいだ。
唯のことが好きだ。だから、貴子とこうなってもいいのだ、それは、解っている。

でも、、、でも。
年下の子を悲しませている。そんな罪悪感が襲ってきた。こんなことを希望して貴子にメールをした訳ではない。

ただ、貴子の質問に答えて『とびっきりの相棒が出来た!』と書いただけだったのに、、、。

貴子に会ったのは、去年の夏だ。
唯と同じチャットで。

唯ほどではないが、貴子ともメール交換を随分した。でも、貴子は、自分のことをひたすら隠していた。

『会う気はないんだよ。空想の中での修さんでいいんだよ。』
とまで言われたことすらある。なので、気分的にはもう終わった気がしていた。

メールの回数も減り、最後にメールが来たのは、正月だった。それで、今回こんな返事がきたのが寂しかった。言葉の取り違いでこんなことにもある。もし、唯とのメール交換でこんなことになったら、大変だ。大切なことを教えてもらったような気にもなった。
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