ヴァーチャル・ラブ ~いつもあなたを好きでした。~

楠瀬 飛鳥

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本編

Pt Ring

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今日は、どうしても唯と話したいと思ってメールを打った僕の勝利だ。

「唯、どうしても話したいんだけど、、、。」
秘密の魔法をかけてみたのだ。

それは、今日、会社で指輪をオーダーできる話が舞い込んできたからだ。
指輪をオーダーしたことなど、過去の経験上、一度もない。

しかもプラチナの指輪を。

デザインを自分の好むようにオーダーまでできるのだ。自分のためなのか?
唯のためなのかは、解らない。
ただ、指輪の話をされた時に、唯のイメージが浮かび上がり、しかもシルバーではなく、プラチナという4文字が浮かんだのだ。その思いを唯にメールで伝えた。

『緊急!唯は、指輪、何号?』

すぐに唯から返事がきた、、。しかも疑問符が心にいっぱいの様子で、、。
唯とペアーリングを作る。とても幸せで不思議な気持ちだ。
まだ、逢った事のない唯。でも、唯の指にリングをはめている自分を想像することができる。

特別な場所で、特別な想いで。

そのデザインを唯と決めたいと思った。二人で決めないとダメだとも思ったのだ。
この世の中でもあまりないであろう形態で進んでいる二人なのだから。
全てを人がまねのできないもので固めたいと思っているのかもしれない。

唯にリングの話を持ち出してみる。

どんな反応を示すのだろう。興味は尽きない。少し、驚いているのだろうか?
一瞬の間が空く。

不思議そうな唯の声と共に、唯の全身から、不思議と力が抜けているような感じもした。唯は言った。

『婚約とか結婚する二人って、こんな気持ちなのかなぁ?』
素朴であり確信をつく質問に唖然とした。

そっか、僕が感じていたのもこんな感じだったのかもしれない。僕はその時、思った。

『絶対、リングは、綺麗な弧を描くデザインがいい!この時間がいつまでも続くように
と願いを込めたデザインにしよう!』と。

それから、唯が『シルバーでいいよ、プラチナは高いよ~。』
とも言っていたが、そんな事、耳にも留めずにいた。そういう問題じゃないのだ。
時間の経過で曇ってしまうシルバーではダメなのだから。
もし、僕と唯がめぐり逢えなかったとしても、リングだけは、届けたい。
唯の人生において『こんな突拍子もないおじさんもいたな!』
と記憶の隅にでも残ってくれれば、大歓迎だ。っと、心の中で思った、、、。
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