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13・パターン3、他国の公女①
しおりを挟む以上が、元平民で最近貴族になった少女顛末である。
ああ、駄目だ、このパターンはダメだ、じゃあ次、今度は高位貴族などならどうだろうか。
とは言え、リジー自身が公爵家の人間だ。
また、幼い頃からのスペリアの行動を知っている国内の貴族の大部分は、自分の子供をスペリアに、などと考えなくなっている。
一部、欲をかいて我こそは! と申し出てくる者が数年前にはいたそうなのだが、いつの間にか何人かが家門ごと消えてなくなったのを受けて、余程でなければ話題にさえも出て来なくなった。
件の少女は例外中の例外で、あの少女の時だって、少女を引き取った貴族はあの少女のしでかした事件を知ると、泡を食って謝罪に訪れたのだそうだ。
ちなみにもちろん、リジーも非常に丁寧な謝罪を受けた。
スペリアはスペリアで、当の少女本人には、すでに少々お願い事をしていたのと、あの少女がたとえどのような状況になっていたとしても、今後一切口出しをしない、関りを持たないというのを条件に、家族となる問題の家門にまでは何かをすることはなかったらしい。
それを寛容と言っていいのかさえリジーには判断できないし、やっぱり関わりたくないとしか思えない。
それはそれとして、高位貴族。と、なると、残るは他国の人間ということになる。
流石に他国にまでは、如何にリジーと言えど早々、伝手など持っていないし、ならばいったいどうすればいいか……と、考え始めて、すでに該当の存在が過去にいたことを思い出した。
あの、件の元平民の少女がいなくなってから、更に数ヶ月後のことだ。
翌年、とまではなっていなかったはずだから、リジーやスペリア、ヴィテアがまだ14の時のことだ。
学年で言うなら2学年の終わりかけだったように思う。
ドゥナラル公国という、とある大国の属国である、一つ他の国を挟んだ立地にある国から来た公女は、件の元平民の少女さながら、一目でスペリアに恋に落ちたようだった。
ただし、こちらは見た目だけならば可愛らしく、優しそうに見えなくもなかった元平民の少女とは正反対で、どう考えても性格の苛烈さが、見た目にも反映しているような公女である。
リジーにも少し似ていただろうか。
リジーもまた、見た目だけなら、少しばかり気が強そうに見えるので。
ん? ならあれはヒロインというより悪役令嬢とかそっちだったのかもしれない。
なんという名前だったろうか。それさえも思い出せなかった。ただ、本人がことあるごとに、
「わたくしは! あの! ドゥナラル公国の公女なのですよ!」
とか何とか言っていたから、国名はあっているはずだ。
件の公女は、元平民の少女とは逆に、リジーやスペリアより、一つ上の年齢だった。
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