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続編的番外編
*x-17・二人きりの馬車にて④
しおりを挟むくちづけは今朝ぶりだ。
流石にその先までとなると、昨夜は出来なかったけれど、くちづけぐらいは交わしている。
だって、気持ちいい。
ラル曰く、
『堪えられない』
んだそうだ。俺に口付けずにはいられないんだって。
その先もほんとは毎日毎晩でもしたいし、ずっと離したくないと何度も言われた。
俺もラルと肌を合わせるのは全く嫌いではないから、時間やタイミング、状況が許す限り応じるようにしている。
そんな風にしてラルと初めて肌を合わせたのは馬車の中。
今と同じ、二人っきりの馬車の中で、だったのだ。
勿論、その日の夜、宿で初夜をやり直したけれど、二人の初めてが馬車の中だったことは間違いない。
思い出して興奮した。
あの時はどうしたんだったっけか。
我慢できないと言われて頷いた。
それで、何がどうなったんだったか。
なにぶん10年以上前の話。
詳細まで覚えているわけもなく、俺は途中で思い出すのを放棄した。
(まぁ、いいか。今は今で楽しめば)
いつも通り、ラルのくちづけは激しく、頭がぼうっと惚けてくる。
気持ちよくて堪らない。
「ぁっ、ん、ん、ぁん、んぅっ、ん、ら、るぅっ……! んっ!」
俺の方からも、ラルの頭を引き寄せて、ねだるようにくちづけに夢中になった。
もっと、もっと、もっと、気持ちいい、もっと!
俺がそうして、くちづけだけに夢中になっている間にも、器用なラルは俺の衣服と自分の衣服を手際よくくつろげていっていて、気付いた時には俺は下半身には何も身に着けておらず、遮るもののない肌を、ラルの腰へと絡みつけていた。
その足に、ラルの手が触れている。
肌をなぞり上げられてぞくぞくした。
掴まれたかと思うと、ぐいと押し広げられ、もともと俺はラルを挟むような体勢でいたのだけれど、硬くなった腰を、もっと更にと押し付けられる。
「んんっ!」
下肢の間、敏感な部分が刺激され、俺は思わず、びくんっ、体を震わせていた。
狭い馬車の中だ。
周りには護衛がいて、子供たちの乗った馬車も並走している。
次の鉄道へ向かうまでの、そんなに長くもない時間。
なのに俺とラルはこんなことをしている。
その事実に堪らなく興奮した。
悪いことをしている、そんな気分になって。
否、夫婦なので、この行為は何も悪くなんてない。
ただ、走る馬車の中というのか、あまりに日常とかけ離れていて、興奮せずにはいられないのだ。
「んっ、んっ、んぁ、ぁんっ、ぁあんっ! んあっ! んっ!」
俺の口からは、感じ入ったくぐもった声が、ひっきりなしに漏れていた。
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