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続編的番外編
x-13・鉄道旅⑥
しおりを挟む俺はどうしたものかと正直途方に暮れていた。
この場合ディーウィはまったくあてにならない。なにせおそらくはラルと同じ心情なのだろうから。
あまりディルを無碍にしてはいけないと思うのだ。
と、言うかラルはあまりに大人げなさすぎる。
社交とかはいいのだろうか、否、いいのだろう。
むしろ大公からディルを紹介されたのは監視というか、確認というか、そういう意図があるだろうことがわかった上で、旅への同行を許した、それだけでも譲歩となるはずだ。
それらを踏まえ、丁重に扱ったりまでしないと態度で示しているのかもしれない。
もっとも単純に、ディルの言動に我慢ならないだけなのだろうけれども。
なにせディルは初めからどうしてだか俺に敵意を向けていた。
そんなディルを、ラルが許すわけがなかったのだ。
俺自身はディルの悪感情など正直なんとも思わない。
むしろここまで明け透けなのはここ数年遠ざかったまま、いっそあの王妃と対峙した時以来じゃないかとも思えて、逆にどこか懐かしささえ覚えていた。
ああ、あの王妃の後によくわからんおかしな貴族もいたのだったか。
だけどラルやディーウィ、オーシュがそうではないことを知っている。
彼らは俺が粗雑に扱われることを、とかく物凄く嫌うのだから。
勿論、それだってわからないでもない。
俺だって俺の大切な存在、たとえばラルとか子供達とか、もちろんディーウィやオーシュにも、悪意を向けられたり粗雑に扱われたりしたら嫌な気分になる。
つまりそういうことなのだろう。
「そもそも、あんたらの態度も問題なんだろ。そこのビショーネンが責任取らざるを得ないような態度だって話なんだがな?」
ディルは更に不機嫌も露わに言葉を続けていて、俺は内心で頷いてしまった。
正論である。
いかにディルが無礼の塊だったとしても、だからと言ってラルたちの取っていた態度がいいものではなかったのは間違いなかった。
なにせほとんど無視し続けていたのだから。
とは言え、だ。
俺が今、口を開くと、余計にややこしいことになる気しかせず、結局俺は何も言えないまま。
「どうして僕達がそういう態度になったのか。まさか君には自覚がないとでも? この期に及んで、まだフィリスのことを、そんな呼び方で――」
そこからしばらく、ラルとディルの聞くに堪えない応酬は、何の結論も出ないまま、同じ言葉の繰り返しになり、しばらくして子供たちが戻ってきても更に、それなりに長い時間、止むことがなかったのだった。
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