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エピローグ・そして甘やかされるばかりの日々へ①
しおりを挟む「母様、またなんだか遠い目をしておられますが、そこに何かおありになるのですか?」
そんな風、傍らから幼い声に話しかけられて、俺は導かれるようにそちらへと顔を向けた。
そこにいたのは、最近頓にラルに似てきた気がする一番上の息子だ。
意志の強そうなこちらをじっと見つめてくる、その目元が特によく似ている。
そんな兄に賛同するかのよう、膝の上に抱えた幼子が、あーあーうーうーと言葉にならない声を上げていた。
かわいい。
ああ、子供というのはどうしてこうも可愛いのだろう。
ラルがことさら俺を甘やかす、というか子ども扱いして来る理由が何だかわかるような気がしたが、否、俺は大人でこの子たちは正真正銘の子供だ、同じにしては意味が変わってくるとすぐに思い直すことになった。
近くでは真ん中の子供もころころと遊びまわっていて、本当に平和だなとしみじみ思う。
俺は子供に応えるがごとく、小さく首を横に振った。
「いや、何でもないよ。と、言うか、そんなに俺はよく遠い目をしているだろうか」
また、と言っていたけれどと訪ね返すと、息子は少し考えるようなそぶりを見せ。
「うーん、そうですね……時折、でしょうか。心ここにあらず、という風に見えることがあります」
言葉を選びながらの返事に、全く自覚していなかった俺は、少しばかり驚く。
ほんのつい今の話をするなら、ちょっとだけ過去を思い返していただけで、そんな風に指摘されるほどだなんて、思いもよらなかったからだった。
今年6歳になる息子は年の割に随分としっかりしているような気がするが、これはラルと俺どちらの影響なのだろうか。ぼんやりそんなことを思いながら苦笑した。
ちなみに、このたった数年で3人も子供を望んでしまったのは、偏に子供が大変にかわいかったからだった。
もっとかわいいに囲まれたい。
つい、そんな風に思って、立て続けに望んでしまった結果だ。
一応、理性はあったので2年ずつ年は明けたのだけれども。
だけど同時にしばらくは休んでもいいかなぁとも思う。
三人もいると、流石に全員にしっかり手をかけられているとは思えなくなってきていて、特にしっかりしている長男には、我慢させていることも多いのではないかと思えた。
下の子供たちの面倒もよく見てくれるいい子なのだが、俺としてはいい子じゃなくても構わないと思うのだ。
むしろもっと甘えて欲しい。
それを思うと、甘やかすというのも存外に難しいなと思った。
あと、もう一つ、理由があって……――。
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