【完結】初めて会うイケメンの旦那が甘やかしてくるんだが。ちょっと待ってこれどんな状況?

愛早さくら

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165・開いた茶会にて⑨

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 現に遠い席の二人はそっと眉根を寄せている。否、侯爵夫人へと向けられる視線には軽蔑したような色さえ混じっているような。
 やはり彼女らもどうやら素直な性質のようだと俺は内心でこっそり笑った。
 もう少し腹芸と言えばいいのか、装うことも心掛けた方がいいと思うのだけれど。この辺りは後日カティリュナ辺境伯へ伝えておこうと内心で予定を立てておく。
 余計なお世話かもしれないけれども。
 エドゥヌ侯爵夫人の言う、コリデュアの王妃と懇意にしているという知り合いは誰だったろうか。
 頭の中で事前にラサスから受け取った資料を思い浮かべる。
 流石と言うべきかその資料には、今回の招待客それぞれの主な交友関係まで網羅されていた。
 エドゥヌ侯爵夫人は親戚にコリデュアの貴族出身の者がいたはずだ。おそらくはそこからの情報なのだろう。その親戚もやはり不要な無能・・・・・なのかもしれないなと思いつつ、参加者たちの様子を窺えば、侯爵夫人の言葉に関心しているような者が半数。残りの半分は信用できないとでも言いたげだった。
 この中の8名でさえそんな風に分かれる辺り、王妃は余程に信用がないのだろうことがうかがえる。
 それでもこの8名は噂話を都合よく解釈しているのだ。つまり何を言っても侯爵夫人と大差などないということ。

「なるほど。なら、彼の王妃殿下のご様子・・・もきっとよくご存じでおられることでしょうね。もしかしたら疎遠だった私などよりよほどお詳しそうだ」

 これはいわば、親しいのなら、王妃の信用できなさもよく知っているだろうに、という意図を含めての発言だったのだが、多分伝わらないのだろうなと、こっそり思った。
 ちなみに、くすと今にも笑いだしそうな様子の遠いお二人には伝わっていそうなので、伝わらなかった場合、侯爵夫人の柔軟性のなさ・・・・・・が明らかになるだけである。

「あらあら、やはりお生まれがお生まれだけに王妃殿下とは親しくして頂けなかったのですわねぇ」

 案の定、全く伝わらなかったどころか、更に見当違いな発言を重ねてきたので、俺は本当に仕方がない人だと呆れるばかりだ。
 と、言うか、先程から一応貴族らしく・・・・・言葉を選んで発言していたのだが、どうやらそんなことをしていては、会話さえ成り立たなくなりそうだった。
 いずれにせよこの場にいる8名は不要な無能。取り繕う必要もないかと今度はもう少しわかりやすく告げてみることにする。
 俺はにこやかに微笑んだまま口を開いた。
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