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159・開いた茶会にて③
しおりを挟む俺はいわゆるお誕生日席的な場所に座って参加者を見回しながら、存外にわかりやすいな、とそう思っていた。
否、ここに居るのがわかりやすい者ばかりなだけなのだろう。
「この間の王宮の夜会ではご挨拶に至れなかった方もいらっしゃるようですので、歓談を交えながら、宜しければ自己紹介など順番にしていって頂いてもよろしいでしょうか?」
そもそも、あの夜会で挨拶した者なんてたった2名だけどな、その後すぐに帰路に着いたし。と内心でのみ呟きながら、にことそう促し、参加者たちが名乗っていくのを聞いていく。
事前にラサスから参加者について聞いていたので、主に俺の持っている情報と実際の彼ら彼女らを照らし合わせていく作業となった。
今回、おそらくはラルよりも年上だろうご子息がいらしているのがアキュシラ侯爵家。聞けば最近事業に失敗して侯爵家とは名ばかり、実際には随分資金繰りに苦労しているのだとか。もっとも事業に失敗した理由も当主含めた一家の態度の悪さが遠因だというのだから中身の宜しくなさは推して知るべしと言って問題ないだろう。
爵位から俺の右隣にいるのだが、こちらに寄越される視線がどうも好色で気持ちが悪かった。
逆側に当たり左隣に座っているのがエドゥヌ侯爵夫人で、壮齢と言って差し支えない年頃の女性である。濃い髪や目の色からもあまり魔力が多くないからなのだろう、少なくとも見た目上だけならば、この中で一番年嵩に見えた。
ちなみに事前情報通りだと、実年齢的にはカティリュナ辺境伯が一番年上となるが、彼女はなにぶん見た目が若々しいので、間違ってもエドゥヌ公爵夫人より上には見えないのである。
その横には男性であるスエクディ伯爵夫人とこちらは女性のアティクシーエ伯爵家の伯爵本人が続き、その向かい側にいるのがクルテリラ伯爵令嬢。彼女はどう見ても未成年で、心細そうに委縮しているのが見て取れた。もしかしたら家の者から半ば強制的に今回の茶会に送り出されたのかもしれない。
ケレシーナル子爵家の御当主の子爵本人とこちらも男性であるリドゥニア子爵夫人が続き、アティクシーエ伯爵の隣がクワシュティン子爵令嬢で、こちらは同じ令嬢でも、どう見てもラルより年上、否、むしろエドゥヌ侯爵夫人に近い年齢にさえ見えた。
そして更にそれぞれの隣がワスディエ伯爵令嬢とエルシェマン子爵夫人で、この二人がカティリュナ辺境伯推薦の者達である。
最後に俺と対面となる一番奥にいるのがカティリュナ辺境伯本人で、その表情からはこの茶会を心底楽しんでいるのがありありと見て取れる程だった。
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