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158・開いた茶会にて②
しおりを挟む今回の茶会の参加者は例の女性辺境伯であるカティリュナ辺境伯や、彼女推薦の者たちを入れて全部で11人。問題とされている無能候補はつまり8人ということだ。
俺に招待状を送ってきた物の中から、初めからよくないとされていたそれは8通。そのうち、今回の参加は5家である。残り3家は改めて無能候補となった5通の中から今回の茶会への参加を諾とした者たちだった。今回断ってきた併せて5家の者たちへの対処は後日、機会があればと予定されている。
いずれにせよ彼ら8名のうち誰か、あるいは全員が今日の茶会でなにかしらをしでかすだろうと予想されていて。その予想は外れないのだろうなと俺は思っていた。
なお、茶会の招待状は各家の家長宛てに、家に対して送っており、それぞれの家の中で誰が参加することになるのかは戻ってきた返信で把握する形とした。
よって今日集まった者たちも、爵位を持った当主や当主夫人、令嬢、令息と様々で、男女も混ざったものとなっている。
そもそも主催者である公爵夫人となっている俺自身の性別が男だ。例えば夫人、と制限を付けて呼び立てても、男女は混ざったものとなったことだろう。
問題の8名は偶然にも男女4人ずつなのだが、カティリュナ辺境伯と彼女推薦の二人は皆女性なので、少しばかり女性が多くなっている。
それぞれ挨拶を交わした後は、会場となるリヒディル公爵邸の中庭にて12人掛けの長机に決められた席次通り席に着く。
席次はラサスの助言に従ったもので、概ね爵位順だった。また、敢えて同じ派閥同士が固まるように決めてある。なのでカティリュナ辺境伯と、その連れ二人はわざと俺からは一番遠い席で、全体を見ていて欲しいと頼んでいた。
彼女にも否やはないらしく、快く請け負ってもらえて大変助かっている。
今も楽しげに目を細め、不躾な視線を送られる俺をそっと、だけどまじまじと眺めていて。確かに彼女にとってはこんな茶会など、愉快なばかりなのだろうなとそう思った。
なお、茶会の参加者が11名というのは別に多くも少なくもなく、一般的と言える。少人数の場合は4名ぐらいから、多くて20名ぐらいで開催されることが多かった。
そこから考えても11名というのは妥当だ。
「本日はご足労下さってありがとうございました。先日は頂いていたお誘いにどちらにも参加できず残念でした。その代わりというわけではありませんが、今日はその分も、少しでもお楽しみ頂けると大変嬉しいです。本日は私が開催する初めての茶会となります。至らぬ点があるかとは思いますがご容赦ください」
そしてにこやかに開催を告げた俺の言葉から、誰かにとっては楽しいばかりの、他の誰かにとっては最悪の日になるかもしれない茶会がついにそうして始まったのだった。
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