【完結】初めて会うイケメンの旦那が甘やかしてくるんだが。ちょっと待ってこれどんな状況?

愛早さくら

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39・道中⑪

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 俺は頷く。
 ナウラティスの結界。有名だ。悪意・・害意・・を弾くそれ。

「今、張ったという結界とは別なのかい?」
「全然違いますね。今のは、物理的な接触全てを弾くものです。ナウラティスの結界が弾くのは、悪意・・害意・・。それを持つ存在です。貴方もお心当たりがおありになるのでは? 見たところフィリス様は今、ご自身におかけになっていらした結界をお解きになっておられますよね?」

 ラルの疑問に答えたのはディーウィで、そしてディーウィは続けてにこやかなまま、そんなことまで口に出した。
 バレている。
 俺はバツの悪い思いを味わう。
 だってさんざん言われていたのだ。オーシュにもディーウィにも伯父上にも。決して結界を解いてはならないと。
 これは遠回しに非難されているのだろう。
 だけど俺は、どうもラルがそれに弾かれるようだと知って、早々に結界を解いてしまっていた。そのままかけ直したりなどしていない。
 見てわかるようなものでもなかったはずだが……かと言って、わからないものでもないかと思い直した。
 ディーウィの言葉に、ラルはぎゅっと眉根を寄せていた。その上、

「確かに……僕に、悪意・・害意・・が全くないと言ったら嘘になるね。少なくとも、フィリスを散々ないがしろにしているコリデュアなんて滅ぼしてやろうかと考えているよ」

 などと物騒なことを言い始める。
 俺はぎょっとしてラルの顔を振り仰いだ。

「ら、ラル?」
「うん? どうしたの、フィリス」

 躊躇いがちに名を呼んだけど、返されたのは不思議そうに首を傾げる様子で。
 うん? でもラルはコリデュアで俺を待っていた。それなのにコリデュアに対して悪意・・、あるいは害意・・を持っている?
 よくわからなかった。
 ディーウィもオーシュも伯父も、皆コリデュアについては思う所があるようなのだが、俺はあの国に対して、特に何も思ってはいなかった。
 と、言うか、むしろ、母に実際会ってからは余計に、例えばあの王妃様の態度というか、俺への恨みのようなものは当然のものなのではないかとさえ思っている。
 そりゃ、王妃様からすれば俺の存在なんて、さぞ面白くないだろうと、そう。
 だから、確かに蔑ろにされている所がないわけではないけれど、俺はそれを不当だとは考えていなかった。
 ナウラティスの知り合いなどは皆、否定して来るのだが、俺にはそちらの方が理解できない。
 だが、ラルもまた、ナウラティスの者たちと同じ意見であるようだ。その上、悪意・・害意・・まで持っているとなると余計に過激だなと俺は思った。
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感想 39

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