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31・道中③

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 俺が野宿をする。
 それは、ラルがそんな顔をするほど、避けるべきことなのだろうか。
 わからない。
 あまりに分からなさ過ぎて、俺は咄嗟に傍らにいるディーウィの方へと振り返ってしまっていた。
 だが、ディーウィはにこと笑うだけ。
 どうやら俺の疑問には応えてくれる気がないらしい。
 俺は改めてラルへと向き直った。
 俺が、どうやら何も理解していなさそうだというのが伝わったのだろう、ラルが苦笑する。

「君がいいんなら、いいんだよ。うん。大丈夫」

 そして何かを決めたのか、気を取り直したように今度はしっかりと微笑んだ。

「ともあれ、予定も決まったことだし、もう少し先へ進もうか。フィリスも、ディーウィも。ひとまずは馬車へと戻ろう」

 促されたので素直に従う。
 すれ違いざま、ちらと目にしたオーシュは、何故か呆れたようにこちらを見ていた。
 何故だ。
 何にいったい呆れたのか。全く意味が解らなかったけれど、ディーウィも何も言わなかったので、ひとまずは気にしないことにする。
 俺とラルと、ディーウィと。三人ともが馬車へと乗り込んだら、待っていたとばかりにすぐに馬車は動き出した。
 しかし、しばらくして。またしても馬車は動きを止めた。
 先程、話していた通り、少し開けた場所に辿り着いたのと思う。
 ラルのエスコートを受け、馬車を降りると、予想通り、街道の脇の辺りが、少し開けた場所となっていた。
 まだ、魔の森とは少し距離があるようだけれども、それでも魔の森ではない普通の森の入り口のようになっている場所だ。
 その先に細く、森へと続いているのはどう考えても獣道。
 どうやらこの場所は、街道を行く馬車などが休憩などもしやすいように、わざと開いた場所のようだった。
 その証拠に、何度となく使用されたのだろう、焚火の跡が幾つも残っている。
 三台の馬車など余裕で停められそうな広さのあるそこで、御者は器用にも、三台の馬車をまるで何かを囲うかのようにして停めていて、馬車の間には、ある程度のスペースが設けられているようだった。
 そこで休めるようにということなのだと思う。案の定、馬車から降りた侍従や護衛の人が、てきぱきと野営の準備をし始めて。俺も何か手伝った方がいいだろうかと思ったけれど、

「フィリス。このまま少し待っていましょう」

 などとラルに言われては何も出来るはずがなく、ディーウィやオーシュが、ラルの侍従や護衛に混じって動き始めるのを、ただじっと突っ立ったまま、何もしないで眺めることになってしまったのだった。
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感想 39

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