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*9・自分を褒める
しおりを挟むわかっていた。
押し付けられた段階で、大きいのはわかっていた。わかってはいたのだが、しかし。
それにしても、大きすぎやしないだろうか。
俺は思わずそれをじっと見つめてしまった。だって大きいのだ。俺の腕ぐらい、いや、もしかしたらそれより少なくとも手首よりは太いかもしれないぐらいなのだが、それを俺の尻に今からラルは入れるつもりなのだろうか。
俺の尻穴はもうすっかり解れて、腸液でぐちょぐちょだ。そもそももともと身体操作の魔術で、その部分は柔らかくしてある。柔らかくはしてあるのだけれども。それでも、皮膚を伸ばしたわけでもなければ、俺の体内の容量が増えたわけでもない。
俺は今更怖じ気づいた。それはラルの象徴が、あまりに大きすぎたからだった。
確かに、ラルは大柄なのだ。俺と並ぶと、実は大人と子供ぐらいの体格差がある。俺だって身長はそこまで低くないのだが、ラルと並ぶと、身長はともかく、体格に大きく差が開きすぎていた。勿論、身長も頭一つ分以上はラルの方が高いのだが。それに反して体格の方は、もはや倍はあるのでは? というぐらいなのだ。
そりゃあ男性器もさぞや大きいことだろう。俺だってまさか自分と同じぐらいだろうなんて思ってはいなかった。それにしても。想像以上の大きさだった。
俺の視線に気付いたラルが、俺がどうしてそこを凝視しているのかにすぐに気付いて、はは、声に出して笑いをこぼす。
「ああ、すみません、僕の、ちょっと人より大き目みたいで」
ちょっと? 大きめ? その大きさはそれどころではないと思うのだが。
「本当は不安だったんです。ここには何の準備もないし、でも僕は貴方が欲しくて。だってどれだけ貴方を望んできたことか。美しくてかわいい。そんな貴方がもう、僕のものなんです。我慢なんて出来ない」
息を荒げながら告げられる、それは大変に情熱的な告白だった。
確かに。ラルは初めからどうやら股間を熱くしていたようだし、それに関しては俺だってわかっていた。ただ。
「多少傷がついたとしても、後で治癒魔術で治せばいいかと思って」
そんな強引なことを考えていたとまでは気付いていなかった。多少傷がつく?
もし俺が自分で魔術を行使していなければ。
どう考えても多少で済んだとは思えなかった。多分血みどろの大惨事だ。俺の腹の中は裂け、俺はきっと大怪我を負ったことだろう。いくら後で治癒魔術で治せるだろうと言っても、その場合、俺はどれだけの痛みを負わねばらなかったのか。
想像してぞっとした。
そして、身体操作の魔術を自分で自分に施した少し前の俺自身を褒めたたえたい気分になったのだった。
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