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*8・呼び名
しおりを挟むラルはその何処か歪にも感じられる笑みを浮かべたまま、俺から下着ごとボトムスをはぎ取った。
そのまま、露わになった素足を開かせて来る。
俺は抗わず足の間に、ラルの逞しい体を挟むような体勢を取った
ラルが改めて、俺の尻の間に手を伸ばす。
くちゅ。滴る腸液に濡れた俺の尻の穴は、ラルの指を全く少しも拒まなかった。
「ぁっ……」
いくら身体操作でその場所を柔らかく変えたと言っても、体内の感覚まで鈍化させたわけではない。
だからラルの硬い指の感覚は、当たり前に生々しく、俺の粘膜へと伝わった。
初めて覚える違和感。このような触れ合い自体が初めての俺は、当然、そんな場所を触られたこともなければ、指など入れられたこともない。
はじめて受け入れる他人の指。
ラルはことさらゆっくりと、俺の尻の穴へと、指を沈めてきた。
それぐらいならほとんど抵抗なく、じゅぶんと受け入れてしまえるようにした、俺の腹の中を、ラルの指が擦っていく。
「ぁっ、ぁぁ、ぁぅ……」
知らず俺の喉からは微かな呻きが漏れていた。
そんな俺を見つめるラルの赤い瞳はどろりと溶けて。
「ああ、なんてキレイな。感じてくれているんですね。素敵だ」
言いながら指の動きを激しくしていく。
興奮しているのだろう、ラルの息が荒くなっている。つられるように、俺の息も。
「ああ、凄い、ぐちゃぐちゃで柔らかくて、なのにきゅっときつく締め付けてくる。僕の為の場所だ。もうここは僕のものだ。そうでしょう?」
ラルの言葉に、俺はこくこくと頷いた。そうだ。だって俺とラルはもう夫婦なのだ。当然その場所はラルのもの。
「フィリス。――……そう呼んでも?」
呼びかけられ、だがはたと確かめられる。そう言えば名乗ったっきり。ラルは、ラルと呼んでくれと言っていたが、俺の方はそれに何も返していなかった。
俺は改めて頷いた。
構わない。むしろそう呼んで欲しい。
「ふふ。フィリス。嬉しいです。なんて素晴らしいんだ。貴方自ら僕を受け入れてくれるんですね。フィリス。ああ、フィリス」
うっとりとラルは俺の名を呼んで、俺の腹をかき回す指の動きを激しくしていく。
「ぁっ、ぁっ、ぅぅ……ぁっ!」
腹の中を擦られる違和感は、いつしか甘い疼きへと変わっていた。痛みがないからだろうか。予想よりずっと気持ちよく思えるようになってくるのが早い。
流石に、そういう操作はしていないのだけれども。
ラルが充分に俺を気遣ってくれているからだろうか。わからない。
わからないまま、ラルの指に身を委ねているうち、いつしか俺の腹の中のラルの指は増やされていて、2本、その後は3本を、ぐっぽりと根元までくわえ込んでいるようだった。
くちゅぐちゅ、ずちゅ、馬車の中に水音が響く。
まだまだ明るい昼の内から、動く馬車の中で。どれぐらいそうして、俺の腹の中を触っていたのだろうか。興奮がついに抑えられなくなってきたのだろう、はぁはぁと荒い息を吐くばかりとなったラルが、ごく、と、ひときわ大きく唾を飲みこんだ。
「ふぃり、す……もう、いいです、か? もう、痛くて」
はじめから熱く昂っていたラルの性器は、ついに痛いほどに張りつめているらしい。俺は頷いた。
はじめからそのつもりだ。だからこそ身体操作なんてことまでやった。その上でラルは随分と長い間、丁寧に丁寧に俺の腹を解し続けてくれて。だから、もういい。もう、きっと受け入れられる。
「ラル」
俺は、むしろ俺の方こそが望んでいるのだとでもいうかのように、自分からラルを引き寄せた。
ラルが手早く寛げたボトムスの中から、ぶるんと勢いよく飛び出したラル自身は、一瞬目を疑うほど大きかった。
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