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補足その他ちょっとだけ続きとか
x-1・愛の言珠①
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※ちょっと迷ってたんですが、改めて読み返していたら書き切れていなかったところがあったのと、気が向いたのでほんの少しだけ番外編的なのを続けますー!
+++++
俺は今更ロディスの気持ちを疑っているわけではない。
疑っているわけでは、ない、が、しかし。
ではロディスに言葉にして気持ちを伝えてもらったことがあるかというと、それがないのもまた事実だった。
+++++
酔いどれお変わりっ!-愛の言珠~言葉が欲しくて~
+++++
「なんですか、隊長、それで今更お言葉が欲しいんですか?」
ロディス隊長はあれだけのことをしてくださったのに。
と、まで、まるで言いそうなサーラの言葉に俺はたじろいで口ごもった。
「うっ……そういう、わけじゃ、ないんだが、いや、その……」
いや、結局、そういうわけ、になるのか?
俺はおそらく言葉が欲しいのだろう。
俺は今、別に実はロディスにこれまでだって嫌われていたわけじゃないことを知っているし、今、確かに俺を想ってくれていることも疑っているわけじゃなかった。
だけど。
俺は口にしたのだ。
幼い頃からお前のことが好きだったのだと。
だがしかし、それに対するあいつの応えは……――。
『ああ、リティ、なんてことだ! こんなに素晴らしいことが起こるだなんて! リティ! 私は今、幸せだ、リティっ!』
などと感極まって抱き着いてきて、そのまま――……だとかいうもので、つまり行動。間違っても言葉では決してなかった。
肌を合わせている時も、あいつが口にするのは、
『ああ、リティ、リティ、かわいい、かわいいよ、リティ、なんて美しいっ……! ああ、凄い、気持ちいい、リティ、リティ……』
……あいつの鳴き声は多分、俺の名だ。
リティ、リティ、リティ、あいつは俺の名前ばかり呼ぶ。
と、言うかむしろそれぐらいしか口にしない。
あとは可愛いだとか美しいだとか可憐だとか、俺の容姿? に対してだと思われる賛辞ぐらい。
残りは凄いとか素晴らしいとか気持ちいいとかあいつ自身が感じていることで、逆に言うとそれだけだった。
思い出してしまって顔が赤らんだのが自分でもわかる。
多分それはサーラにもわかったことだろう。
なんだか胡乱な目で見られている気がするから間違いない。
仕事中である。
むしろそれしかないという勢いでこなさなければならなくなっている書類仕事、あいつが主に俺の代わりに現場仕事を担当しているので、いうならばあいつの分と二人分、俺は机にかじりついて仕事をする羽目となっていた。
否、別に俺は書類仕事が嫌いなわけではないので構わないのだ。仕事に来れているだけで充分だとも思っている。
そもそも先々休むことは決まっているので、今から少しずつ調整もしていっていて、仕事自体も減ってきてはいた。
サーラは俺を手伝ってくれていて、それで……――それで、だ。それでも。
いくら苦手ではないとは言っても、文字とばかり睨めっこしていては当然集中力が切れてきて、思考が取りとめもなく遊んでしまって――……今に至るというわけだった。
つまりなんとなぁーくここ最近のこと、ロディスのこと、今の俺の状況そのもの、なんてことに思考を巡らせていて、そう言えばと気づいてしまったのだ。
あれ、そう言えば俺、結局ロディスから言葉をもらったことがないな、と。
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俺は今更ロディスの気持ちを疑っているわけではない。
疑っているわけでは、ない、が、しかし。
ではロディスに言葉にして気持ちを伝えてもらったことがあるかというと、それがないのもまた事実だった。
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酔いどれお変わりっ!-愛の言珠~言葉が欲しくて~
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「なんですか、隊長、それで今更お言葉が欲しいんですか?」
ロディス隊長はあれだけのことをしてくださったのに。
と、まで、まるで言いそうなサーラの言葉に俺はたじろいで口ごもった。
「うっ……そういう、わけじゃ、ないんだが、いや、その……」
いや、結局、そういうわけ、になるのか?
俺はおそらく言葉が欲しいのだろう。
俺は今、別に実はロディスにこれまでだって嫌われていたわけじゃないことを知っているし、今、確かに俺を想ってくれていることも疑っているわけじゃなかった。
だけど。
俺は口にしたのだ。
幼い頃からお前のことが好きだったのだと。
だがしかし、それに対するあいつの応えは……――。
『ああ、リティ、なんてことだ! こんなに素晴らしいことが起こるだなんて! リティ! 私は今、幸せだ、リティっ!』
などと感極まって抱き着いてきて、そのまま――……だとかいうもので、つまり行動。間違っても言葉では決してなかった。
肌を合わせている時も、あいつが口にするのは、
『ああ、リティ、リティ、かわいい、かわいいよ、リティ、なんて美しいっ……! ああ、凄い、気持ちいい、リティ、リティ……』
……あいつの鳴き声は多分、俺の名だ。
リティ、リティ、リティ、あいつは俺の名前ばかり呼ぶ。
と、言うかむしろそれぐらいしか口にしない。
あとは可愛いだとか美しいだとか可憐だとか、俺の容姿? に対してだと思われる賛辞ぐらい。
残りは凄いとか素晴らしいとか気持ちいいとかあいつ自身が感じていることで、逆に言うとそれだけだった。
思い出してしまって顔が赤らんだのが自分でもわかる。
多分それはサーラにもわかったことだろう。
なんだか胡乱な目で見られている気がするから間違いない。
仕事中である。
むしろそれしかないという勢いでこなさなければならなくなっている書類仕事、あいつが主に俺の代わりに現場仕事を担当しているので、いうならばあいつの分と二人分、俺は机にかじりついて仕事をする羽目となっていた。
否、別に俺は書類仕事が嫌いなわけではないので構わないのだ。仕事に来れているだけで充分だとも思っている。
そもそも先々休むことは決まっているので、今から少しずつ調整もしていっていて、仕事自体も減ってきてはいた。
サーラは俺を手伝ってくれていて、それで……――それで、だ。それでも。
いくら苦手ではないとは言っても、文字とばかり睨めっこしていては当然集中力が切れてきて、思考が取りとめもなく遊んでしまって――……今に至るというわけだった。
つまりなんとなぁーくここ最近のこと、ロディスのこと、今の俺の状況そのもの、なんてことに思考を巡らせていて、そう言えばと気づいてしまったのだ。
あれ、そう言えば俺、結局ロディスから言葉をもらったことがないな、と。
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