104 / 206
3・偽りの学園生活
*3-65・最悪の夜②(ミスティ視点)
しおりを挟むミスティは苛立っていた。
自分だってやったことがないティアリィとのデートを、他国の人間が実現させた。
それに嫉妬しないだなんてあり得ないだろう。
別にデートそのものがしたいわけではないのだけれど、そもそもティアリィに好意を寄せている人間とティアリィが二人きりになる状況そのものが気に食わない。
だが、それでもミスティはその夜、ティアリィを見るまで、自分の理性がそれほどまでに脆くなっているだなんて、思ってもみなかったのだ。
勿論、一言二言苦言ぐらいは呈そうと思っていた。でも、その程度だった。その程度だった、はずだった。
「ミスティ?」
その夜。王宮に戻ってきたティアリィはいつも通りだった。
前日のデートなど、まったく何も意識した様子はなく、本当に全く持っていつも通りだったのだ。
ミスティはこんなにも苛立っているというのに!
そしてミスティは。気付くと寝台の上、ティアリィを組み敷いて揺さぶっていた。
「ぁっ! ぁあっ!」
がくがくと揺さぶる度に上がる声。そこに混じる苦痛。
我に返ったミスティは、一瞬、自分が何をしているのかわからなかった。今に至るまでの意識が飛んでいた。
否、改めて思い返せば思い出せる。
自分は今夜、ティアリィの顔を見るなり、何も言わず強引に腕を引っ張って、足早に寝室へと連れ込んだのだ。
そして寝台の上へとティアリィをうつ伏せに押し倒し、下肢だけを寛げさせたかと思うと、淹れる場所だけを確認し、手早く取り出した自分自身を、力任せに突き込んだのである。
血の気が引いた。
自分はいったい何をしたのか。そんな、そんなこと、暴力でなくて何だというのか。
その証拠に血の匂いがしている。
自分はティアリィを傷つけた。
自分の最愛であるはずの相手を、他でもない自分が傷つけたのだ。
傷ついた腹をめちゃくちゃに掻き回して、衝動のままに欲を吐き出して。何度も、何度も、どれだけ。
そう、思い出して、ようやく動きを止めることが出来た。
「ぁっ、ぁあぁぁ……」
どさ。乱れてはいても服を着たままの背中が力なく崩れ落ちる。
ずるぅ、掻き回していたティアリィの腹から抜き出したミスティ自身は、こうなってさえ萎えてはおらず、自分の欲の際限のさなに、ミスティは自分でもわけがわからなくなりそうだった。
見下ろすとミスティ自身はてらてらと、ミスティ自身から滲み出たのだろう体液と白濁、そしておそらくはティアリィの腸液と血に塗れている。なんて悍ましい。
粘ついたそれらの混ざった何かは、ぬちゃと、糸を引くように赤く腫れあがって、痛ましい姿で血とミスティの吐き出したのだろう欲をこぼすティアリィのその場所とつながっていて。
ティアリィは肩で大きく息をしているようだったが、意識そのものはないようだった。
「ぁ……ぁあ……ぁあっ……!」
声が震えた。
その声が、何の声だかわからない。
手を伸ばす。
「ティア、リィ……?」
その手は、彼に触れることが出来なかった。
17
お気に入りに追加
811
あなたにおすすめの小説
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
番だと言われて囲われました。
桜
BL
戦時中のある日、特攻隊として選ばれた私は友人と別れて仲間と共に敵陣へ飛び込んだ。
死を覚悟したその時、光に包み込まれ機体ごと何かに引き寄せられて、異世界に。
そこは魔力持ちも世界であり、私を番いと呼ぶ物に囲われた。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
時々おまけを更新しています。
【完】三度目の死に戻りで、アーネスト・ストレリッツは生き残りを図る
112
BL
ダジュール王国の第一王子アーネストは既に二度、処刑されては、その三日前に戻るというのを繰り返している。三度目の今回こそ、処刑を免れたいと、見張りの兵士に声をかけると、その兵士も同じように三度目の人生を歩んでいた。
★本編で出てこない世界観
男同士でも結婚でき、子供を産めます。その為、血統が重視されています。
婚約破棄されたから能力隠すのやめまーすw
ミクリ21
BL
婚約破棄されたエドワードは、実は秘密をもっていた。それを知らない転生ヒロインは見事に王太子をゲットした。しかし、のちにこれが王太子とヒロインのざまぁに繋がる。
軽く説明
★シンシア…乙女ゲームに転生したヒロイン。自分が主人公だと思っている。
★エドワード…転生者だけど乙女ゲームの世界だとは知らない。本当の主人公です。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる