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3・偽りの学園生活

*3-65・最悪の夜②(ミスティ視点)

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 ミスティは苛立っていた。
 自分だってやったことがないティアリィとのデートを、他国の人間が実現させた。
 それに嫉妬しないだなんてあり得ないだろう。
 別にデートそのものがしたいわけではないのだけれど、そもそもティアリィに好意を寄せている人間とティアリィが二人きりになる状況そのものが気に食わない。
 だが、それでもミスティはその夜、ティアリィを見るまで、自分の理性がそれほどまでに脆くなっているだなんて、思ってもみなかったのだ。
 勿論、一言二言苦言ぐらいは呈そうと思っていた。でも、その程度だった。その程度だった、はずだった。

「ミスティ?」

 その夜。王宮に戻ってきたティアリィはいつも通りだった。
 前日のデートなど、まったく何も意識した様子はなく、本当に全く持っていつも通りだったのだ。
 ミスティはこんなにも苛立っているというのに!
 そしてミスティは。気付くと寝台の上、ティアリィを組み敷いて揺さぶっていた。

「ぁっ! ぁあっ!」

 がくがくと揺さぶる度に上がる声。そこに混じる苦痛。
 我に返ったミスティは、一瞬、自分が何をしているのかわからなかった。今に至るまでの意識が飛んでいた。
 否、改めて思い返せば思い出せる。
 自分は今夜、ティアリィの顔を見るなり、何も言わず強引に腕を引っ張って、足早に寝室へと連れ込んだのだ。
 そして寝台の上へとティアリィをうつ伏せに押し倒し、下肢だけを寛げさせたかと思うと、淹れる場所だけを確認し、手早く取り出した自分自身を、力任せに突き込んだのである。
 血の気が引いた。
 自分はいったい何をしたのか。そんな、そんなこと、暴力でなくて何だというのか。
 その証拠に血の匂いがしている。
 自分はティアリィを傷つけた。
 自分の最愛であるはずの相手を、他でもない自分が傷つけたのだ。
 傷ついた腹をめちゃくちゃに掻き回して、衝動のままに欲を吐き出して。何度も、何度も、どれだけ。
 そう、思い出して、ようやく動きを止めることが出来た。

「ぁっ、ぁあぁぁ……」

 どさ。乱れてはいても服を着たままの背中が力なく崩れ落ちる。
 ずるぅ、掻き回していたティアリィの腹から抜き出したミスティ自身は、こうなってさえ萎えてはおらず、自分の欲の際限のさなに、ミスティは自分でもわけがわからなくなりそうだった。
 見下ろすとミスティ自身はてらてらと、ミスティ自身から滲み出たのだろう体液と白濁、そしておそらくはティアリィの腸液と血に塗れている。なんて悍ましい。
 粘ついたそれらの混ざった何かは、ぬちゃと、糸を引くように赤く腫れあがって、痛ましい姿で血とミスティの吐き出したのだろう欲をこぼすティアリィのその場所とつながっていて。
 ティアリィは肩で大きく息をしているようだったが、意識そのものはないようだった。

「ぁ……ぁあ……ぁあっ……!」

 声が震えた。
 その声が、何の声だかわからない。
 手を伸ばす。

「ティア、リィ……?」

 その手は、彼に触れることが出来なかった。
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