結婚10年目で今更旦那に惚れたので国出したら何故か他国の王太子に求婚された件。~星の夢2~

愛早さくら

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3・偽りの学園生活

3-27・ファルエスタの現状②

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 なお恐怖の2年間に終止符を打ったのはルディファラ王自身で、シンビュジエ前国王より魔力だけならば豊富に持っていた彼は、純粋な魔力攻撃のみ・・・・・・・・・で自身を捕らえていたシンビュジエ前国王を死一歩手前まで追いつめ、自らの足で部屋を出たらしい。
 その後、シンビュジエ前国王は拘束され、唯一残っていた王族であり、正統なる王太子であったルディファラ王自身が王位に就いた。
 そこから16年。
 一度落ちた信用を取り戻すのは容易ではなく、周辺国からの印象は向上すれど、以前までとはまだ至っていない。
 ルディファラ王はシンビュジエ前国王ほど過激な行動には出なかったが、基本的な政策方針は彼の物をそのまま引き継いだ。国政に長けた者がすでにほとんどいなくなっており、頼れる者もおらず、大胆な舵取りが出来なかったとも言える。
 生き残っていた、優秀な元庶民や下級貴族とすでに隠居していたゆえ、大粛清に含まれなかった年かさの者達の力を借り、なんとか国を持たせた16年なのだそうだ。
 王政の廃止も考慮に入れながら、だが、ルディファラ王の願いはただ一つ。ユーファ殿下に王位を継がせること。
 今は王配に収まっているシンビュジエ前国王に対する何がしかの感情ゆえの者らしいのだが、それについてはティアリィの知る所ではない。
 ただ、結局は弱いままの国政について、何某かの助力や助言をもらえないかと請われただけである。
 ファルエスタは周囲を山に囲まれていて、隣接する国は4つあった。
 小国というほどではなくとも、豊かとは言い難い国ばかり。国同士の関係として険悪な所はなく、そもそも、山に囲まれた小国であるファルエスタには、特筆するような特産となるものもなければ、目立った鉱山なども存在しない。価値さえほとんど見出されていない小国ゆえ、敵対するに値すると見なされていなかった。
 かと言って、率先して手を差し伸べられるほどの余裕は何処の国にもなく、とりわけキゾワリなどは間接的な支配さえ匂わせてくる始末。
 今回のリアラクタ嬢の留学などはいい例だろう。とは言え、そこまで積極的に働きかけてきているわけでもないので、諍いや争いということにはなっていないらしい。
 不幸中の幸いというべきだろう。
 ティアリィから見て、よくぞここまで持たせたものだと思った。
 否、だからこそのナウラティスへの縁談の打診だったのだろう。遠い国からのせいいっぱいのSOS。沈みかけた船の起死回生の一手。
 ティアリィ、否、ナウラティス側には当然、この国をそのまま背負い込むつもりなどなかった。
 所詮は他国だ。それほど離れていないとはいえ、国をいくつも跨いだ先にある、来るだけでも一月もかかる国。
 いくらナウラティスに余裕があるとはいえ、そのような小国全てを救っていてはきりがない。だけど。
 ピオラとユーファ殿下の婚姻が整えば縁続きとなる。
 それに見合った最低限の手助けは、やぶさかではないとは考えていた。
 否、かわいい娘の嫁入り先なのだ、それに見合う程度には国力を付けてもらわなければ困るのである。
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