結婚10年目で今更旦那に惚れたので国出したら何故か他国の王太子に求婚された件。~星の夢2~

愛早さくら

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3・偽りの学園生活

*3-16・交わらない心

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 触れられるのは、久しぶりだ。
 約一月ひとつき。たったそれだけ。でも、同時にそれほどに長い時間。
 そもそも、ティアリィとミスティがこういう関係に至って以降、たとえ一月ひとつきと言えど、触れ合わなかったことなんて、それこそ6年前。ティアリィが自分の気持ちに気付くきっかけとなった、数か月に及んでミスティが留守にしていた時ぐらいしかなく、5歳の時に出会ってからこちら、顔を合せなかったこと自体が、その時と今しか存在しなかった。
 その上、当時は通信機越しとは言え、顔を合わせてはいたのだ。そういう意味では、顔さえ合わせなかったのは今回が初めてで。
 だからだろうか。ミスティの手つきには容赦がなく、注がれた魔力と魔術はいつも以上の速さで、ティアリィから理性を根こそぎ奪っていった。

「あっ! あっ! あっ!」

 上がる声を耐えることもなく、揺さぶられるのに合わせて高く喘ぐ。
 ミスティはいつも使用している魔術に任せて、これでもかと過剰なほど、ティアリィに魔力を注ぎ続けた。
 それこそ、瞬く間に暴いたティアリィの下肢、奥まったところにある慎ましやかな其処に、だいたい一月ひとつき程、触れていなかった所為で閉じ切っていることになど微塵の考慮も見せず、魔術を行使してぐちゅん、僅かばかり探っただけで、堪えきれないとばかり、硬くそそり立つ自身を突き立てたほど。

「ぁあっ!」

 仰け反りたわむ背を引き寄せ、更に腰を密着させて。
 大きく開かせたすんなりと細いティアリィの片足は、ミスティの方へと担がれている。
 もう片方にも腕を絡め、体ごと縫い留めていた。
 ティアリィの尻は浮き、ミスティの腰の上。不安定な体を支えるのは、かろうじて床につかれたティアリィ自身の両手のみ。
 ティアリィは背にした扉と覆いかぶさるミスティの体に挟まれる形で揺らされていて。

「あっ、あっ、あっ、」

 躊躇ない腰使いで奥を抉られては、上擦った声があがり続ける。
 頭は眩んで、ぼんやりとして、自分が今何をされているのかもよくわからなかった。
 今のティアリィに分かるのは、自分に触れているのがミスティで、注がれている魔力がミスティのものだということ、ただそれだけ。
 それ以外はもう、わからない。

「ティーア、ティーア、ティー、アっ……うっ」

 どぷん。うわごとめいた声で名を呼ばれ続け、詰めた息と共に体の奥深くへと注がれたのはたかだか一月ひとつきやそこら触れていなかった程度では到底忘れることなどできるはずのない、慣れ切ったミスティの魔力と体液で。
 溶けそうだった。
 触れ合った所から混じって、境目が分からなくなってしまいそうだ。

「みぃ、しゅぅぅ……」

 身悶えて受け止める。
 本当は求めていた。
 ティアリィだって、ミスティと会えず触れ合えず、寂しさは感じていたのだ。でも。
 これでもかと執拗に魔力を注がれて。充足感を覚えている。
 頭は魔力によって、ぼんやりと霞んでもう何が何やらわからない。
 それでも。
 それでも、だ。
 ティアリィはミスティからの奔流のような行為に晒されながら、酔いながら。こんなのは違うと、それだけを強く思い続けていた。
 その証拠に。

「ティー、アっ……!」

 ドクン、いくら腹の中に注がれても。

「あぁっ!」

 いくら快感に仰け反っても。
 ミスティの魔力はティアリィの中で凝らず、子には成らず。
 何も変わっていない。
 この6年とまるで同じ。

「ミーシュっ……!」

 体の隅々にまで、ミスティの魔力が満ちていくのに。

「ティーアっ」

 縋るように抱きしめられたって、ミスティの注ぐ魔力は少しも。形になることはなかったのである。
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