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第2章・まるで夢のような日々(リュディ視点)
34・伝わる気持ち、交わす心②
しおりを挟むユセアナはそんなルナス様の様子に嫌な顔をしていたのだけれど、どうしてユセアナは時折、ルナス様に対して、よくないことを思っているような様子を見せるのだろう。
僕にはなんだかよくわからないのだけれど、ルナス様はわかっていらっしゃるみたいで、
「彼女はただ、リュディのことをかわいく思っているだけなんだよ」
だなんて、おっしゃるばかりだった。
ルナス様が気にしていらっしゃらないのなら僕も構わない。そう思う。
そう言えばあの塔から出た日に出会ったなんだか怖い女の人は、国内の貴族令嬢のお一人らしくて、
「彼女は思い上がった傲慢な人でね。あの時もあまりにしつこくて相手をしていたんだけど、辟易していたんだ。もう二度と城に来ることはないから、リュディは心配しないでね」
だって。
もう会わないというなら、何も気しないでいいのだろう。
僕はあんな怖い人になんてもう会いたくない。
サネラ様曰く、僕や僕の国……違った、もう一領土なのだった。とにかくその僕の生まれ育った領を快く思っていない貴族の筆頭のようなお家出身の女の人でもあるのだとか。
でも今そういう人たちには徐々に考えを改めていってもらっている所でそういう人たちは減っていっているのだそうだ。
そのうちいなくなるし、そうしたら僕は塔で生活しなくてもよくなるらしい。
でも僕は別に塔から出たいだなんて全く思っていなかった。
そもそも、僕のいる塔は外側から鍵がかけられない場所であることを僕は初めから知っていた。
ちなみに内側からは施錠できるのでつまり、自ら進んでの籠城は出来るけれど、閉じ込めたりは出来ないということ。
でも僕は指示されるのに従って大人しく塔にいる。
塔の中は充分に広いというのもあるし、特に不便を感じてもおらず、そもそも僕はお部屋から出たいだとか思ったことがない。
だから、塔から出る理由がないのだ。
塔から出れる、そう言われても……正直、僕にはどうでもいい話で、それをルナス様に伝えると、ルナス様は何故か驚いていらして。
「リュディ? 俺はてっきり、君が泣き虫なのは閉じこもってるせいもあるのかと……それにずっと塔の中だなんて息が詰まるだろう? 我慢してるのだとばっかり思っていたよ」
ルナス様のお言葉に、僕の方がびっくりしてしまった。
僕が泣き虫なのは生まれつきだし、息が詰まるだとか、それこそ意味が解らない。
僕は何も我慢なんてしていなかったので、僕はしゃくり上げながらルナス様にそう伝えた。
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