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第2章・まるで夢のような日々(リュディ視点)
22・塔の外にて③
しおりを挟むおそらくはサネラ様が人払いをしているのだろう、辺りには誰もいなかった。
それはもう不自然なほど人気がない。
夕暮れを少し超えたぐらいの時間。
いったい何をどうしたのか、どんな理由を付ければこれほどまで、本来なら数多くの人が行きかっているだろう王宮から人を遠ざけられるというのだろう。
不思議には思ったけれど、だんだんと悪くなっていっている体調もあり、僕は正直それどころではなく。ただ必死にサネラ様の後ろを着いていく。
眩暈がする。
これもおそらくは魔力が足りていないからなのだろう。
ああ、ルナス様。
不安で不安でたまらない。
ただ、ルナス様に会いたくて。
だけどもうじき会える、会えるのだ。
もうしばらくの辛抱。サネラ様は嘘をおっしゃったりしない。
今ばかりはそれを信じるしかなかった。
僕はこの国に着いた時、まっすぐに塔へと案内された。
だから僕は塔しか知らず、今、歩いている所も何処なのかわからない。
そもそも僕は自分の生まれ育った場所であるはずの王城だって、ほんの数カ所ぐらいしか知らずに育っている。
それは長く部屋からさえ満足に出られなかったから。
その所為で僕の世界はひどく狭く、もしやこんな風、世界が狭すぎるのが悪いのだろうか、なんてことも考えてしまって。ルナス様がいらして下さらなくなったのはその所為じゃないかって。
きっと泣くことしかできない僕についには愛想をつかされたのだ。
僕はルナス様をもてなすことなんて出来ない、楽しい話一つしたことがなく、結局はただ泣くばかり。
今もぐずぐずと鼻を鳴らしている。
視界がぼやぼやと滲んでいるのは間違いなく涙の所為だろう。
こんな風に、泣いてばかりの僕なんてきっと鬱陶しいに違いない。わかっていながらも泣き止めなかった。
泣きながらサネラ様の後に着いていった。
庭のような所をいっぱい歩いて、小さな扉から王宮の建物の中に入った。
多分壁は白いんだと思うけど、まだ少し残っている夕暮れの所為か、ほんの少し赤くて暗い。
そう言えば夕飯の時間が近いな、なんて思ったけれど、それどころじゃないぐらい頭が痛かった。
それにずっとぐらぐらと地面が揺れている。
この地面が揺れているように感じるというのが多分、眩暈だったはずだ。
僕は生まれつき魔力が多くて。
だからいつも泣いて引きこもっている割には、体調なんて崩したことがない。
魔力が多いと、病気にもほとんどかからないのだ。
頭が痛いのも眩暈がするのも初めての経験で、それもまた辛くて辛くて仕方がなかった。
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