子はかすがい、とは言うけれど?!

愛早さくら

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00・起点、争点、問題点

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「なぁ、そろそろ結婚するか?」

 そう告げられた瞬間、俺は信じられないと目を見開いて男――この国、ミリスディア王国の王太子、ラーガディセア・ミリスディーセを見た。
 ラーガディセアは愛称をラーグと言い、幼い頃からの俺の婚約者だ。
 しかし、婚約して25年。
 それは俺がラーグの婚約者として、4歳でこの国へと単身渡ってきてから、とラーグが共に過ごした年月でもあった。
 本来なら疾うに婚姻を結んでいてもいいはずだったのに、これまでそのような話とならなかったのはいまだラーグのである国王と、父であり宰相を務める王配が健在な為。そして何よりラーグの関心自体が俺になかった為である。
 そう、ラーグの関心は俺になかった。
 仲が悪いわけではない。
 ただ、事情により、生まれたばかりの頃から育てざるを得なかった、12歳年下の弟を溺愛していた。
 それこそ、何よりも優先する勢いで、弟中心に生きてきた男なのである。
 そんな男との婚姻。
 俺には全く考えられず、俺のことを、そういった目で見てきてはいなかったはず。
 そうでもなければ、どうして今更。
 俺はぐっと眉を顰めて、

「………冗談だろ?」

 そう、言い放った。
 その言葉が、どのような結果をもたらすのかも知らずに。

 ラーグ最愛の弟ルーシャが、他国へと留学に出て、ちょうど1年が経つ頃の話だった。

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