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20-1・食堂にて
しおりを挟む部屋の外へ出られるようになって、一番初めにしたことは、その日の昼食を食堂で摂ることだった。
口実に使った散歩は昼からにする。
ちなみに午前は今まで通り、だらっと本を読んだり映像を見たりして過ごした。
ラティは何度見たって飽きるわけがないというぐらいに、やっぱり今日もかっこよかった。
むしろ多分、こうして映像を見ることは、これからの日課になっていくのではないかと思う。
もっとも本物だって、毎朝毎晩見ているのだけれど。
俺からするとそれはそれ、これはこれ、なのだから。
ともかく、実に数週間ぶりに出た部屋の外は、見慣れているはずなのになんだか見慣れず、また、『王宮』という場所に相応しく豪華で荘厳で。
つい、逐一びくっと臆してしまうのは、前世がド庶民だったからなのだろう。
(ここで……育ったはずなんだけどな……)
住み慣れた場所のはずなのだ。
ルニアが生まれたのはイバティエイザ王国ではあるのだけれど、王族である以上やはり王宮で、記憶にある限り、ランティエイザ王国の王宮と規模や豪華さなどはほとんど同じだったはず。
何より、幼い頃からランティエイザ王国に留学してきていて、王族教育やら王子妃教育やらの大部分は、ラティと共にこの王宮で学んできていた。
つまり、通い慣れ、住み慣れた場所に間違いないということである。
特に、俺が籠っていた部屋はラティと婚姻の際、新しく設えられた部屋ではあったけれど、それでも半年間過ごしてきている。
食堂へもその間、ほとんど毎日通っていて。
見慣れない物などあるわけがない。
なのに豪華すぎてビビるとか、それはやはり感覚の問題なのだろう。
(前世の感覚が強すぎるんだな……)
むしろそれ以外にはないのだけれど。
これでは、ラティが部屋の外へ出したがらなかったのにも納得してしまいそうだ。
(そう言えば、あの部屋だって、最初はなんとなく居心地が悪かったっけ……)
これまでの数週間を過ごしてきた自室として宛がわれていた広々とした居間のような部屋を思う。
もちろん、すぐに慣れたし、そもそも少々状況についていけず、半ばパニックを起こしていたので、豪華すぎる部屋に臆するだとかなんだとか言う暇などなかった。
その状態で数日すぎる頃には、もはやいろいろと考えられなくなっていて。
それに何より、前世を思い出す前までの半年間のほとんどを過ごした部屋だったのだ。
すぐに慣れないはずがない。
だからきっと、今、なんとなく、場違いなのでは? とまで思ってしまう、王宮の豪華さにも。
(すぐに慣れるんだろうけど……)
これからだって長くここで暮らしていくのだ。
いつまでも臆したままでなんていられない。
(むしろ慣れなければ困る)
なんて、内心で呟いているうちに、ほどなくして食堂に着いたのだった。
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