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17-1・疑問と推察
しおりを挟む(って、いや、かんっぺきに魔力に酔わされてんじゃねぇか俺ぇ……!)
そんなことを自覚して、頭を抱える他なかったのは翌朝のことである。
魔力は使い方や相性によって、他者を酩酊状態に陥らせることが出来る。
それは閨に関することですらなく、魔法や魔術、魔力操作の延長線上の知識として、習ったことだったように記憶している。
そもそもの話、自分以外の何か、あるいは誰かに魔力を流すということそのものは、それほど難しいことでも何でもない。
流石に全く触れ合いもせずにというのはまた別の話にはなるのだが、手で触れたところからだとかそういった部分から魔力を流すのは、むしろごく基本的なこととすら言える。
治癒魔術などもこれに当たった。
魔力操作や誘導だとかも。
そうして意図を持って、とある特殊な流し方で流した魔力は、相性や受け取り側の意思によって、相手を酩酊状態へと陥らせることもできるのである。
とは言え前提として、余程拒絶感のない相手同士であるだとかの必要が出てくるのだが。
つまりここでわかるのが、他でもない俺自身が、ラティを受け入れていたという事実だった。
もちろん、ラティは俺を酔わそうとしていたはずだ。
しかしその一方、それが適ったのは、俺がラティを受け入れていたからなのである。
ラティを拒絶したりしていなかったから。
もし、受け入れ側の意思が伴っていない場合は、魔力量勝負のようなものになる部分もあるのだが、ラティと俺だと、実は俺の方が魔力量が多かった。
それは同時に、俺がラティを受け入れていた事実が揺らがないということで。
(あ~~~、恥ずかしぃ~~~!!)
身悶える。
消えてなくなってしまいそうな恥ずかしさだ。
今まではそんなことはなかった。
それは確かに、多少、そのような傾向にまったく覚えがないとまでは言わないが、それでも昨夜ほどではなかったのである。
あんな、くちづけ、つまりキスだけで前後不覚に陥って、その後、自分がいったいどうなっていて、どんなことをされているのかすら、わからなくなるだなんて。
体を繋げたのは間違いがない。
なにせお腹の中に直接、物凄くたくさん魔力を注がれたのだ。
それだけでも勘違いしようがないというものだろう。
だが反面、例えば自分がいったいどんな体勢だったのだとか、そんなことは全く何も一切覚えていなかった。
なんか視界の端で揺れてる自分の足が見えたし、揺さぶられてたんだろうなぁとは思うけど、それぐらいだ。
それぐらいしか、わからないだなんて。
本当に全くなんてことだろうか。
とにもかくにも、恥ずかしくて堪らないことだけは間違いがなかった。
+++++
※所でどうでもいいですが、1個前のえろシーンはものすごく控えめにしておきました。
初め、もう少し具体的な描写をするつもりでいたのですが、一応、作風?これまでの雰囲気?に合わないな、と判断した為です。おかげで短くなったぁ……
応援ありがとうございます!
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