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 声だけではない。
 自分の体勢も、状況も何もかもよくわからない。
 頭がくらくらしてふわふわして気持ちいい。
 それだけ。
 たったのそれだけ。
 こんな所も一度目とは違うしなんだったら、その前のルニアとしての日々とも違う。
 自分がどうなっているのか、何もかもがよくわからないだなんて。

「ぁっ、ぁっ、ぁあっ! んっ! んんぅっ……ぁ、」

 何度も何度もくちづけられ、上からも下からも・・・・・・・・魔力を注がれ、俺はもう、魔力が足りないどころか、ラティの魔力でいっぱいになっているんじゃないかとすら思った。

(気持ちいい、気持ちいい、気持ちいいっ……!)

 思考がかすむ。
 それしか考えられない。
 いつしか、大きく開かされた俺の両足の間にはラティの体が入り込んでいて、持ち上げられているらしい俺の足が、視界の端でゆらゆらと揺れていた。
 否、揺れているのは俺自身か。
 とにかく気持ちよくて堪らなくて、そして体全部、とりわけお腹の奥が熱くて。
 どうやら疾うにそこ・・に直接、魔力を注がれているようだということだけ理解する。

「ルニアっ、ルニアっ、ルニアっ……!」
「ぁっ、ぁっ、ぁあっ! あっ!」

 ラティが何度も何度も俺の名を呼ぶ。
 俺は何も答えられず、ただ成すがまま、開いたままの口からは、意味のない喘ぎ声ばかりが零れ落ちていく。

「ぁあっ!」

 がつんっ、と、火花。
 頭の奥で、何かが弾けるよう。
 同時に、お腹にも火傷しそうな濃い魔力が、幾度も幾度も注がれて。

(気持ちいいい、気持ちいい、気持ちいい……もっと、もっと、もっとっ……!)

 浅ましく、自覚なく。
 伸ばした手は、

「ああ、ルニア」

 愛しいと、眼差しで語るラティに捕えられ、

「ら、てぃ……さまぁっ……ぁあっ!」

 満足に名前も呼び返せないまま、また揺れる視界に何もかもわからなくなっていった。
 嗚呼。

「ルニア」

 呼ばれる俺の名。
 それがどうしてこんなにも愛しいんだろう。
 わからない。
 何もわからない。
 今の自分の状態も何もかも。
 気持ちいいということしかわからない。
 思考もままならなくて、なのに。

「ルニア」

 俺の名を呼ぶラティだけが確か。

「ぁっ、ぁっ、ぁんっ、んあっ! あぁっ!」

 上がる自分の声もわからない。
 ふわふわして気持ちよくて、気持ちよくて。
 そして、そんな眩むような時間は、どうやらそれなりに長く続けられたようなのだった。
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