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しおりを挟む俺は、
(頭が痛くなりそうだ……)
思いながら眉根を寄せる。
とは言え、実際にラティが毎夜、どこでどう過ごしていても、俺の気持ちは変わらない。
敢えて言うのなら、やはりより早く、否、早急に、そう思うばかり。
何を、か。そんなもの、決まっている。
「……今夜、にでも……ラティの都合がいいようなら、と……そう考えていたんだけど……」
元より俺が夜のことを尋ねた時点で、シェラも察していただろうけれど、もう少し具体的に言葉にしてみる。
シェラは心得ているとばかりに頷いて。
「もう……今日で五日ですからね。そろそろ限界が近づいておられるのでは、とは僕も思っておりました」
早めにルニア様の方からお声がけ頂けて良かった。
どこかほっと安堵したようにそうも言われて、俺は僅かだけ気まずくも思った。
俺自身、少しばかり不調を感じ始めていることも、あるいはシェラには察せられていたのかもしれない。
もちろん、元々そう長引かせるつもりなんてなかったけれど。
初めから、ラティが口にした一週間。丸々離れていられるとは考えてはいなかった。
それはラティも同じだろう、だから、それとは別に、体調が思わしくなさそうなら、だとかも口にしていたのだろう。
諸々を理解して今、シェラに話しかけた。
そうすればラティにも、意図ごと正しく伝わるだろう、そう思って。
実際、シェラはすでに控えていた侍従の一人に目配せしていて、頷いたその侍従が静かに部屋を出たことは、俺も視界の端で確認していた。
きっと今頃、今、口にしたばかりの俺の意向は、ラティにも伝わっていることだろう。
それで構わなかったし、そういうものであることも知っている。
現状、そこまでではないが、不調の気配があるのは確かで、心情的にある程度は落ち着けたというのもあるけれども、何よりもそろそろ、ラティと共に夜を過ごさないことを、俺は寂しく感じ始めていた。
否、寂しくて堪えきれないとまで。
だから、今夜からでもまた、寝室を共にしたいと。そう、考えたのだけれど。
ただ、まさかラティまでもが、まともに睡眠を摂ることを放棄しているだなんていう状態だとは思ってもみなかったのは確かだった。
俺は軽く頭を振って溜め息を吐く。
「あ~……いや、いい。今夜。今夜だ。ラティの都合が悪いだとかも、考えられないし……」
俺の勝手にはなるのだけれども。
シェラもはっきりと首を縦に振る。
「ええ。殿下はお喜びになることでしょう。ルニア様はむしろ、明日の心配をなさった方がよろしいかと」
なにせ五日ぶりである。
そんな風に言われると、なんとなく今夜が怖くなって。
俺はただ、努めて、
(……あまり深くは考えずにいよう…………)
そう、それ以上の思考を放棄した。
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