【完結】気がつけば推しと婚姻済みでかつ既に妊娠中だったけど前世腐男子だったので傍観者になりたい

06-4

　逆に言うなら、ルニア俺を通してでしか関わってもいないと言ってもいい。
　思い出せる限りで学生の、特に高等部の時などになると、俺はいつもラティ、あるいはシェラと共にいた。
　二人ともがということはほとんどなく、どちらかといる時は、もう片方はいないというような状況だったので、より二人の間に交流はなかったことだろう。
　おそらくラティが、自分がいない時限定ではあれど、俺の側にいることを唯一許していたのがシェラだったのではないかと思う。
　シェラの何がラティに許容させたのかだとか、そこまではわからないけれど。

（はっ！ それはやっぱりシェラが天使だからっ……！）

　はっと気づいてつい、キラキラした目で勢いよくシェラを仰ぎ見てしまったのだが、俺の考えを悟ったのか、それとも単純によくない予感がしただけなのか、

「ルニア様……」

　シェラはそう俺の名を呼びながら、呆れたような眼差しを寄越してきて、

（なぁーんて、そんなことないか……）

　と、俺はしゅんとソファに身を預け直した。
　一瞬期待してしまったがルニアとしての意識からして、あり得ないのはすぐに分かった。
　なにせラティの関心など、どこをどう思い返しても、ルニア俺以外に向けられているのを見たことがないのである。
　初めて会った幼い時から、いっそそれは清々しいほどに明確で。

（そりゃ、ルニア俺も絆されるよなぁ……）

　あんなにもわかりやすく好意を示されて、どうして何も思わずにいられるというのだろう。
　元々嫌っていたわけでもないので、同じとまではいかずとも、ルニアの方からも好意を返すようになるのはある意味当たり前のことのようにも思われた。
　だからこそルニア俺はこれまで、あれほどまでに重苦しいラティからの愛を受け入れることが出来ていたのだろう。

（だって、昨日みたいなのが毎晩とか……）

　あり得ないとしか思えない。
　しかもよくよく思い出してみると、今回は・・・丸2日で済んだが、初夜・・の折などはもっと長かったのである。

「なぁ、ところでシェラ、初夜・・の時ってさぁ……どれぐらい……」

　ぽろっと尋ねると、急に変わった話に戸惑ったのか、シェラは小さく首を傾げた。

「初夜って……婚姻直後のことですか？ でしたら、だいたい2週間ほどは、お部屋に籠られておられたかと思いますけど……」

　さらっと出てきた期間は、俺が意識していたよりずっと長く、

（いや、もうほんとあり得ない……）

　俺は幾度目か、うんざりしながら、深く溜め息を吐くことしか出来なかった。