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しおりを挟む「スパダリって言うの? かっこよかったんだ。一番最初に惹かれたのは表紙の絵だったんだけど、中身を読んでもやっぱりかっこよかった。俺の理想。ううん、理想以上の憧れって言うの? 俺はラティが一番好きだった。最推しってやつだった。俺はさ、さっきも言ったけど、恋愛対象は女性だったから、自分がラティと、だとかは考えたことがなかったんだけど、でも、自分がもし次に誰か恋人を作るなら、こんな風にかっこよくありたいなぁとかは思ったなぁ……主人公はシェラだったんだけど、シェラも可愛くてさ。そういうかわいい子を、ラティみたいに守りたいって。そんな憧れ」
とは言えそのうちその憧れがどう転がったのか、いや、ラティとシェラのイチャイチャを間近で見たい、いっそ壁になりたい、に発展していったのだけれども。
「はは。おかしいよな、そういうのを間近で見られたらきっと幸せだ、とかさ。本気で思ってたよ。そのうち、他のBLも読んだり、アニメを見たり、ゲームをしたりなんかもするようになって、全然BLじゃない他の作品のキャラ同士で妄想したりとかもするようになっていった」
そもそもBL自体が女性向けだとかいうことは後から知ったことだったし、何ならネットで知り合う同じ趣味っぽい人が女性ばっかりな辺りで、あれ? って思ったりした。
「俺は気付けば立派な腐男子になってた。でも、それまでよりずっと、世界は輝いているように思えたよ」
もう、孤独なんて感じなくなっていた。
「いろんなBLを読んだり、見たり、ゲームしたりするのが楽しくて。ネットで知り合った『友達』と、そういうBLについて語り合うのが面白くて仕方なかった」
そのうちの一人、一番仲のよかった人と、確か、会うだとかいう話になっていたように思う。
相手は、女性ではあったけれど既婚者で、それもあって、恋愛だとかそういうのではなかった。
ただ、趣味の合うものすごぉーく親しい友人っていうやつだ。
「でも、会った記憶はないから、もしかしたらそれぐらいの時に死んだのかもしれない」
そもそも、その人の名前や声も、やはり覚えてはいないのだけれど。
「今はさぁ、だから、そういう、前世の意識が強くてさぁ……」
ラティからの『愛』もわかってはいるのだけれど、これまでのように受け止められる気がしなかった。
あんな行為。
嫌ではない。嫌ではないのだ。
だけど今は、受け止められない。
(やり過ぎだろ……)
そうとしか思えなくて。
いや、実際はっきりきっぱり常軌を逸していると思うけれども。
(だって、丸2日とか……どんだけ)
俺の長い長い回想話を、一切遮らず聞いてくれていたシェラは、やはり何も言ったりはしなくて。
でも俺は、今の気持ちを、整理しながら吐き出せたことで、少しすっきりできたような気がしていた。
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