【完結】気がつけば推しと婚姻済みでかつ既に妊娠中だったけど前世腐男子だったので傍観者になりたい

愛早さくら

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 そろそろ王族間で婚姻を、などと言う話には、俺達が生まれる少し前からなっていたらしい。
 その時すでにイバティエイザの王太子は生まれていたので、なら、ランティエイザに後継が生まれた時にでも、という風に。
 イバティエイザ側の、年の近い王族を宛がう予定でいた。
 王族が王族に嫁ぐことになるので、側室などと言うことはあり得ないし、王妃、あるいは王配となるのが両国間の関係上も望ましく、そうして選ばれた俺とラティだったのだ。
 ちなみに別に示し合わせたわけではなく、俺とラティが同じ年だったのは単なる偶然なのだそうだ。
 でも、ちょうどいいとは思っただろう。
 そういった事情は、小説で書かれていたのと同じだった。
 否、小説では、『生れてすぐ』に『本人たちの意思とは関係なく』婚約が結ばれたとなっていたはずだが、実際には違う。
 幼少期――……四歳か、五歳か、それぐらいの時に、一度顔合わせをしていて、それまでは、そういう話は出てはいても、婚約にまでは至っていなかったと聞いている。
 ラティがルニアを気に入って、是非にと願ったのだと。

『けっこんするならあの子がいい。あの子じゃないとイヤだ!』

 などと言う熱烈な希望を受けて、ラティの婚約者は俺になったのだそうだ。
 他にも年の近かった兄弟や、他の公爵家などのほとんど王家みたいな者はいたのだが、その内の誰かなどではなくルニアだったのはラティが望んだからこそで、この時点からして小説とは全く違う。つまり前提が異なっていた。
 いずれはランティエイザで過ごすし、出来るだけラティと一緒の方がいいだろうと、ルニアは前世の日本と同じ、6歳だか7歳だかで入学する学園の初等科に、ラティと共に入学したのだけれど、小説の中では、ルニアはそれを、自身が第三王子であるが故、親に蔑ろにされた結果だと受け取っていたし、事実そうだったのかもしれない描写もあった。だからこそ両親のことも国のこと自体も恨んでいたし、ラティのことだって嫌っていた。
 しかし、ルニアの記憶をどれだけ紐解いてもそんな事実はまるでなかった。
 むしろ甘やかされてさえいたようにしか思えない。
 6歳だか7歳だかの幼い時から親元を離れ、ランティエイザの学園の初等科にラティと共に入学したのは同じだ。
 だが、この世界には、小説の中にはなかった、『ポータル』と呼ばれている、国家間転移施設が存在していて、それはイバティエイザ、ランティエイザ、双方の首都に設置されていた。
 国家間転移施設ポータルさえあれば、移動が一瞬で出来てしまうのである。
 難点は使用する際に必要な魔力量が多いこと。とは言えそれも、貴族であれば個人で賄えてしまえる範囲。幼いとはいえ、ルニア自身でも問題なかったし、ルニアに常に付いていた侍従や護衛でも事足りた。
 結果ルニアはほとんど休日毎に親元へ戻って、普段は寮生活で会えない寂しさを埋めるがごとく、休日中、目一杯甘え倒していた。
 むしろ両親や兄姉、何なら妹や弟からも幼くして親元を離れているからと甘やかされていた始末で、いっそ溺愛されているというに相応しい状況だったのである。
 それでどうして蔑ろにされているなどと思うというのだろう。
 加えて、小説ではまるでルニアに興味を持たなかったラティまでもが、これでもかと言わんばかり、常にぴったりルニアに張り付いて離れずに。幼いながらに容赦なく好意を示し続けてくれたのである。
 また、学園への入学も、ラティが是非にと望んだが故のことで、そんなにも自分を好きと示してくれるのならと、ルニアが頷いたのだと覚えている。
 ルニアだって寂しくなかったわけではないけれども、そんなものなんてそのうち感じなるぐらいにずっと傍にラティがいたのである。
 両親の方こそ、より寂しがっていたぐらいだった。
 それだけ前提が違っていて、同じように育つわけがなく、そうでなくとも、覚えている限り、ルニアは今の俺からすると、ひどく素直で、非常にふわふわとしていたようにしか思えなかった。
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