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48・レシアについて④

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 地図に半ば釘付けとなっている俺を確かめた後、シェスは更に、今度は近くに置いていた別の紙を広げて、

「そしてこちらがナウラティス周辺の地域のみを拡大した地図となります」

 と指し示す。
 今度はナウラティス国内にもなにやら線が増えていて、どうやらそれが各地方の区切りのように見えた。思った通りにシェスが続けて、

「もう予想しておられるかもしれませんが、この国内を区切っている線が、各領地の境界を示しています。そして、」

 と言い、その中の左下部、海に面した、他より大き目の場所を指でさした。
 書いてある文字を読む。
 日本語、とは少し違う、アルファベットのようなその文字を、どうしてか俺はごく自然に読んでいる。
 シェスの指がその文字を敢えてなぞった。Pのような文字から始まるそれは。

「……――パンレソイ」

 ただ、俺は読んだだけ。でもそれで充分だったのだろう。
 シェスがにっこりと微笑んで頷いた。

「お読みになれるのですね……ええ、そうです、パンレソイ。ここが我がパンレソイ辺境伯領。ここを治めているのが我が父、辺境伯位を賜っているグローディであり、その伴侶が、今は・・ミーシュ様となります」

 俺は半ば呆然とそれを聞きながら、なんだか思ったよりも、それは重要な立場なのではないかと感じていた。
 否、領土の広さがすなわち、重要な地位だというわけではないとは思う。
 だが逆に、そういった意味合いが一切ないとも考えられなかった。

「大きいな……」

 意味のない、そんな見たままの感想が口からこぼれる。広い、と言えばいいのか。勿論、他にもパンレソイより広い領土はあるように見える。だけどパンレソイは、出っ張ったようになっている部分ほぼ全て。他よりも特殊な位置づけにも見えた。

「そうですね。重要な領地の一つであることは確かです。また、その上、ナウラティスに囲まれるようにして小さな国があるのはわかりますか?」

 シェスが続けて示す場所を見て頷いた。
 ナウラティスの国境線の外。パンレソイの真上。いっそナウラティスに食い込むようにして二つばかり国があるようだった。
 シェスの指がさしたのは、そのうちの小さい方、よりナウラティスに食い込んでいる部分だ。
 そこに書かれていた文字はカナドゥサ。聞き覚えのある名称だった。
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