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第二章・ペーリュ視点
2-37・私に出来ること②
しおりを挟むそれぐらいそうして、二人しておかしな顔をしたままだったのだろうか。やがて何かを決めたらしい曽祖父は溜め息を吐いた。
「なるほど。お前がそう言うんなら、リーファを眠らせ続けるのは簡単なんだろう。でも、リーファの意思を無視してそんなことはできない。それはわかるね?」
曽祖父の言葉に、私は思い出していた。
『義兄上が僕が寝ている間に僕に触れてくれていることを、僕はわかっていたいです』
そう、言っていたリーファを。私が触れていることを、すべて把握していたいと言っていたリーファ。リーファの希望は、全て叶えなければ。
だから私は頷いた。ただ。
「わかりました。ですが、リーファを起こしてそんな説明をするのは……」
今のリーファには、やはり負担になるのではないだろうか。
私はただ、心配なのだ。
知らずぎゅっと、リーファを抱く腕に力を込めた私に、曽祖父は苦笑する。
「そこは任せてくれ。僕が出来るだけ、リーファの負担にならないように説明してみせるよ」
曽祖父がそういうのならと、私は改めて頷いた。
リーファをかわいがっている曽祖父が、リーファを苦しめるはずなどないのだから。きっとうまく宥めてくれるはずだ。
「なら、早い方がいいだろうから、リーファを起こそうか。苦しそうにしているし、きっとこのまま寝かせたままにはしない方がいい。ただ、君たち二人がいると、リーファの混乱がひどくなるだろうから、少し席を外してくれるかい? 気になるなら、聞いていてもいいけど、魔力を隠して、リーファには気づかれないようにしてほしい」
私もラーヴィもそれぞれ頷いた。
確かに、今のリーファの前には、私たちは二人とも顔を見せない方がいいのだろう。大変な抵抗感と戦いながら立ち上がって、大切に抱えたままだったリーファを曽祖父へと預ける。
「起こすのにコツとかはあるのかな?」
確かめられたので私は答えた。
「魔力を乗せずに揺り起こすとすぐに起きます」
簡単な話だった。私は毎朝、リーファをそうして起こしている。
リーファは別に寝起きが悪いわけではない。むしろ魔力を流し続けていないと、逆にすんなりと、ほんの僅かな刺激でも、すぐに目を覚ますのである。
「ふぅん? なるほど、わかったよ。じゃあ、さっそくだけど」
言外に席を外すよう促され、名残を惜しみながらラーヴィと連れ立って部屋を出る。扉は僅か、あえて開けたままにしておいた。
そしてその場で私自身を結界で覆う。おそらくこれで気付かれないはずだ。
当たり前に気になるので、聞いておこうと思っていた。
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