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第二章・ペーリュ視点
2-36・私に出来ること①
しおりを挟む「リーファは受け止められないと、曽祖父様は先ほどおっしゃいましたが、受け止める必要などありません。ただ、私の魔力を注げばいいのです」
リーファは認識の齟齬に苦しんでいる。そしておそらく、それに耐えられるような強靭さを持ち合わせていない。
ならば苦しめなければいいのだ。
例えば今のように意識がないままであれば。少なくとも、意識がある状態よりは、苦しむこともなくなるはずだ。
今は、意識がないにもかかわらず苦しそうにしているままだが、それはおそらく夢でも見ているからなのだろう。なら、夢の指向性を示してやればいい。もしくは、夢も見ないほど深く意識を沈めてしまうか。
どちらであっても、それは可能なのだから。
曽祖父には私の言葉の意味が正しく伝わったのだろう、曽祖父はぎゅっときつく眉根を寄せて、苦々しく言葉を紡いだ。
「それはつまり、このまま、受け止めるも受け止めないも認識させずに魔力を注ぐということなのかな?」
当然、私はこくりと頷く。
「はい。その通りです。おそらく、リーファの苦しみは、戻らない限りなくなりません。なら、次にリーファが目覚めるのは、戻る時だけでいい」
そうすればこれ以上、リーファは苦しまなくて済む。
私の言葉に、曽祖父は苦い顔のまま、そしてラーヴィは、何故か、信じられないという顔を私へと向けていた。
何故、二人がこのような顔をしているのかが全くわからない。
リーファを苦しめたくなどない。それは二人も同じはずだ。
何か気になることでもあったのか、曽祖父が再度、言葉を発する。
「しかし、ずっと、眠らせ続けることなんて出来ないだろう? どうやって眠らせ続けるの?」
私は首を傾げた。曽祖父がなぜそんなことを疑問に感じるのかがわからない。
「リーファは絶対に起きませんが」
今更の話だ。
「? どういうことだい」
「私が魔力を微弱であっても流し続ける限り、リーファは起きません。今まで一度も起きたことがないのですから」
小さい頃からずっとだ。リーファは目覚めない。私がリーファへと魔力を流し続けている限り。
リーファを起こすには、逆に魔力を、一切含ませずに触れる必要があるのだから。
曽祖父は知らないのだろうとリーファのことを伝えたのに、苦い顔をしたままの曽祖父の表情は一向に緩まず、ラーヴィは恐ろしい者を見るかのような目で私を見ていた。
私は二人がなぜそんな顔をしているのか、一向に分からないままだった。
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