【完結】身に覚えがないのに身ごもりました。この子の父親は誰ですか?

愛早さくら

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第二章・ペーリュ視点

2-18・ぎこちない誘い

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 ああ、本当に。可愛らしくて堪らない。
 私はリーファを慰めた。

「大丈夫。大丈夫だよ、リーファ。大丈夫」

 呪文のようにそう唱えると、リーファはすりすりと私の胸へとすり寄ってくる。

義兄上あにうえ

 今だ、涙の気配が残る、どこか舌ったらずな口調で私を呼んでくるのが、本当に愛おしい。

「ああ、リーファ。落ち着いたかい?」
「うん……」

 優しく尋ねると、リーファはこくりと小さく頷いた。

「よかった」

 私は微笑む。リーファを安心させるように。
 そうしてぎゅっと腕の中、抱きしめ続けているとリーファは、もぞもぞと腰を控えめに揺らし始め。
 ちらちらと、潤んだ瞳で私を躊躇いがちにうかがいだしたのである。
 私は内心の歓喜を、やはり表情には表さず、ただ、リーファへと微笑みかけるだけ。慈しみをこめて。
 そんな私に焦れたのか、リーファは、

「えっと、ぁの……義兄上……」

 などと、何か言いたそうに私を呼ぶ。求められていることがなんなのかなんてこと、勿論、私にはわかっていた。だからこそ私は焦らさずに、リーファが望む通りのものをいつだって差し出し続けるのである。
 この場合は、リーファへと直接注ぎ込む魔力という形で。

「どうしたんだい、リーファ。大丈夫、大丈夫だよ。もしかして魔力が足りなかったのかな。すぐに注いであげるからね。安心するといい。リーファ」

 抱きしめたまま唇を寄せて。リーファの顔中にくちづけを降らせながらそう告げる私にリーファは曖昧に頷いた。

「ぅ……ぅん……」

 ほんの少し躊躇いがちに。だけど明確に求めるように私を引き寄せる。
 本当に、なんて可愛らしい。
 今のリーファに、魔力が足りないはずなんてなかった。だってほんの数時間前まで、これでもかとばかりに、リーファの腹へと注ぎ続けていたのだ。
 たった数時間眠っただけで、足りなくなるはずなんてない。
 リーファもそれは自覚があったのだろう。だから煮え切らない同意となる。
 わかっていながら私はそらとぼけて、リーファへと触れる口実に乗っていった。
 はじめは少しばかり緊張していた様子のリーファも、いつも通りに触れ続けると、次第にとろりと蕩け始める。
 勿論、触れるところ全てには魔力を乗せておいた。
 リーファのお腹に成っている子供の養分だ。きっとどれだけ注いだとして、過剰ということになんてならない。

「ぁっ、ぅんっ……義兄上ぇ……」

 甘えた声で私を呼ぶのに、応えるように色々な場所へとくちづけを落としていった。
 そもそも寝る前に行っていた行為ゆえ、今であっても、リーファも私も裸のまま。元より遮るものなど何もない。
 私は今、リーファの体の、何処にでも触れることが出来るのである。

「ぁんっ」

 上がるリーファの声は、やはりどこまでも可愛らしかった。
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