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第二章・ペーリュ視点
2-17・望み通り
しおりを挟む「義兄上、義兄上、義兄上ぇ……っ!」
起きてすぐに泣きながら、そんな風に私を呼んで、きゅっと縋りついてくるリーファはかわいくて、かわいそうで。
「大丈夫、大丈夫だよ、リーファ。私はここにいるだろう? 何も心配することはない。全部、お前が望む通りになるからね」
否、リーファの望む通りにしよう。どんなことをしても。私は必ずリーファの望みをかなえるのだ。
硬く決意しながら抱きしめ、頭を撫でて背中を擦った。
泣きじゃくるリーファが次第に落ち着きを取り戻していく様子に、ほっと微かに息を吐く。
ようやく少し落ち着いてきたらしい。
「僕が、ぐすん、望む通り……? それはあの、かわいそうな人も?」
小さく呟くように控えめに訊ねてくるリーファの可愛さたるや!
あまりに愛しすぎて、こちらこそいつも通り、硬く勃ち上がったままの股間は、触れてもいないのに暴発してしまいそうだった。
ああ、いや、それはいけない、それはダメだ。私の吐き出す体液、魔力を多分に含んだそれは、余さずリーファの腹へとぜひ、直接注いでしまいたかった。
暴発なんてしてしまえば、どう考えてももったいないことになる。
私は達することだけは耐えて、安心させるようににっこりと笑みを返した。
かわいそうな人。それが指すのは、リーファ連れ去りの実行犯のことだ。
リーファの代わりにリーファの目の前で暴力を受けた青年。
そんな存在が、それほどまでに気になるというのか。正直面白くないとしか思わなかったが、そんな様子は表情にはおくびにも出さず、私はリーファを安心させるように頷いた。
「もちろん」
「とっても、痛そうになっていた……」
「それはリーファ自身が、あの場で治していたじゃないか」
リーファは彼に治癒魔術を施していた。だから彼に、外傷など残っているはずがない。
今、この時間にひどい目に合っていないという保証はないけれども、いずれにせよ。
「リーファが気にするようなことには、何もなっていないから安心しなさい」
勿論、実行犯であることに変わりはない。つまり、罪人だ。結局彼も、捕らえられ、罪に問われたのは仕方がない話。公女や宰相、他の者たちも併せて、大公に処理を任せてきたので、どう対処したかの報告も、ほどなくして届くだろう。
それでも、リーファの望みを汲んで、それほどひどい状況にはなっていないはずだった。
リーファは私の言葉に安心したのか、ほわと微笑んで。
「よかったぁ……」
まだ涙の残る目尻を光らせて、そんな風に、可愛らしく呟いたのだった。
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