【完結】身に覚えがないのに身ごもりました。この子の父親は誰ですか?

愛早さくら

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第二章・ペーリュ視点

2-1・私のこと①

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 あの子を。初めて見た時のことを、どう表現すればよかっただろうか。
 天使だと思ったんだ。
 神から私へと遣わされた天使。
 そんなはずないのにね。
 神は天使など使わしはしないのだから。
 だけどあの子が、リーファが。一瞬で私の心を奪ったのは本当だった。

 私は大陸でも五指に入る大国、ナウラティス帝国の皇孫として生まれてきた。正しくは曾孫だが。
 エピェリュジオ・パンレソイ・ナウラティス。
 父は正しく皇帝の孫であり、母は皇帝の義理の兄が就いた、パンレソイ辺境伯家出身の女性だった。
 ちなみに厳密にいうと、父と母の役割は男女逆なのだが、それはともかく。
 父も祖父も皇帝位に欠片も興味なく、むしろ2代続けて拒否するばかりであった先、生まれた私には当たり前に期待がかけられていた。
 幸いにして私は、祖父のように冒険者を目指しているわけではなく、父のように引きこもりでもなかった。
 むしろ本来ならばその必要もないのに、曽祖父を助ける為なのだろう、あるいは父の伴侶であり続ける為か。可能な限りの公務を引き受けている母に似て、ある程度の責任感を持って生まれついて、その所為かどうかはわからないが、幼い頃から特に、帝位を継ぐことに抵抗感を抱かなかった。
 むしろそう望まれているのならば応えるべきなのだろうとさえ思っていたほどだ。
 ただ、皇帝になりたいのかと聞かれると首を横に振るしかなく、なりたくないと頑迷に拒否するほどではないという程度で、正直な所、面倒だとは思っていた。
 それでも、自分にかけられた周囲からの期待は感じられ、拒否するほどに疎ましいわけではない以上、期待に応えねばならないとも思っていて。だから皇帝位も、別に望んではいないけれど、嫌だというわけではないので、漫然と自分はいずれ皇帝になるのだと思って育ったのだった。
 私は幼い頃から何事にも、強い興味を引かれることがなかった。
 覚えている限り常に、何かに執着した覚えがなく、何かを望んだ経験もなく。いっそ自主的に何かをしたことさえ一度もなく、ただ、周囲が望むがままに振舞い、周囲の促しに沿って、面白くもない日々を過ごしていた。
 否、その時の私はむしろ、日々を面白くないと感じていることさえ自覚しておらず。今から考えると、出来のいい人形のような子供だったのではないかと思う。
 教えられたことはどのようなことであれ、そつなくこなすことが出来たし、身体能力や魔法魔術にも優れている。

「お前の唯一の欠点は何かに興味を抱くことが出来ないところだね」

 そう私を表したのはいつかの曽祖父で、なるほど全くその通りだと私自身でも思っていた。
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