【完結】身に覚えがないのに身ごもりました。この子の父親は誰ですか?

愛早さくら

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x2-6・兄の葛藤⑥

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 そしてペーリュは、そんなリーファを包み込み、甘やかすばかりだったのである。
 だからアーディはてっきり、ペーリュはリーファの成長を、大切に見守って、待っているのだろうとばかり思っていた。
 それがまさか全く待たずに、すでに早々と手を出していただなんて思いもしない。
 聞けば引き取ってすぐの頃から、ペーリュはリーファに触れていたのだという。
 寝ているリーファの全身に魔力を乗せた手で触れて、あまつさえ体液を擦り込み、数年の内にはついに直接、腹を穿つまでになっていたのだと。それを知った時アーディは気が遠くなりかけた。
 なんてことをしているのかと叱り飛ばした。



 そう、あの日はたまたま、リーファが珍しく魔術師塔にも出勤せず部屋で休んでいると聞いて、様子を窺いに行ったのだ。
 リーファを一目見て、アーディは固まった。
 何故ならリーファの下腹部には、すでに育ち始めた子供が成っていたのだから。
 それは非常に奇妙なことだった。
 何故なら、リーファはいつもと変わらず、他者の魔力を受け入れた痕跡が感じられず、その時のアーディには、リーファ自身の魔力しか、リーファの体内には存在していないように見えていた。
 まさかペーリュがリーファの幼い頃から魔力を擦り込み続けていて、もやはすでにペーリュの魔力がリーファに満ちている状態こそが通常となっているだなんて思いもしない。
 リーファはリーファで、子供が出来たことそのものは喜んでいる様子で、しかし相手はわからないという。
 要領を得ない話を捲くし立てようとしたリーファを遮って、アーディが質問する形で、事情を探っていったのは、アーディ自身が混乱していて、自分でも状況を整理したかったからだった。
 そこで分かったのは、リーファには誰かとそう言った行為・・・・・・・に及んだ記憶がないこと。そして、それとは別にすでにペーリュから、子供を育てる為の魔力を注いでもらった事実・・・・・・・・・があるということ。
 つまり、ペーリュから魔力を注がれた状態が、そのまま、いつも通り・・・・・のリーファだということで。
 そこから導き出された答えに、アーディは天を仰ぎたくなった。
 ついでにリーファをペーリュに託したことを、心の底から後悔した。
 なにせ、どのような状況で、なのかはその時にはわからなかったけれど、リーファの意識の外で、ペーリュがリーファに触れていたのだろうことは明白で、それがいつも通り・・・・・にしか見えないということは、もうずっと以前から、そういった行為・・・・・・・を繰り返していたということだったのだから。
 リーファは全く何もわかっていないように見えた。
 幸いなのは、子供を身ごもったことそのものについては、すでに受け入れていて、喜びさえ見せていたこと。今後・・、ペーリュがリーファへと魔力を注いでいく、それに対しても、むしろ嬉しそうにしていたこと。
 ならばリーファはおそらく大丈夫なのだろうとは思った。そうは思ったけれども、とんでもないことをしでかしていたペーリュについては話が別だ。
 アーディはなぜかその日に限って、自分について来ていたヴィーフェにリーファを託して、ペーリュを問い詰めに行ったのだった。
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