【完結】身に覚えがないのに身ごもりました。この子の父親は誰ですか?

愛早さくら

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第一章・リーファ視点

1-66・本当のお話④

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 公女様はこれまでのとても嫌な印象を受けるお顔とは違う表情で僕を見た。
 あのお顔はいったいどういう気持ちでそうなっているお顔なのだろうか。

「へ、陛下は、つまり、眠っているその子供に、その、」
「ああ、そうだ。魔力を注いだ。リーファは小さい時から心配になるぐらい、一度眠ったらなかなか起きなくてね。ん? いや、はじめは、よく眠れるようにと暗示をかけたのだったような気がするが……どうだったかな。とにかく、起こすのにはコツがいるんだ。逆に言うと、そうでなければ何をしても起きなくてね。私としても眠りを妨げたいわけではないからいいんだけれど」

 知らなかった。
 毎朝、特に問題なく起きれているから、僕は自分がそれほどまでにいつも眠りが深いのだということに今の今まで全く気付いていなかった。
 勿論、義兄上のお言葉を疑う理由なんてない。
 やっぱり僕には自覚も心当たりもないけれど、毎晩一緒に眠っている義兄上がそう言うのだからそうなのだろう。

「そ、それはいつから……あ! こ、子供に魔、魔力を注いで差し上げる為なのですよね? い、今その子供は身ごもっているから……」

 公女様が思わずと言った風に問いを重ねられる。
 もし、そうであるならば理解できなくもないと言っているようにも感じられた。

「え、いつからって……はじめからだけど」

 義兄上は、質問の意図がわからないと言った風にお応えになる。
 それはいったい、何のはじめ・・・・・なのだろう。

「はじめ?」
「うん」

 僕と同じ疑問を抱いたらしい公女様の問いかけに、義兄上は、こくりと一つ頷かれた。そしてそのままこう、続けられる。

「リーファを引き取った、はじめからだね」
「へ、陛下がその子供を引き取ったのは、」
「リーファが2歳の時だよ」
「っ!!」

 公女様はぎょっと目を見開いて驚きも露わに義兄上を見つめていらっしゃった。
 大公閣下が義兄上を見る目も同じ驚きに満ちている。
 つまり義兄上あにうえは、僕が子供を身ごもる前から・・・・・・・、僕が眠っている間に、僕を魔力を注いでくれていたということなのだろう。
 僕が2歳の時からずっと。
 僕のお尻に、雄の象徴を入れていた?
 あれ、2歳って入る・・のかな?

「ああ、もちろん、はじめからリーファに魔力を注げたわけではないよ。はじめはね、触れたんだ。可愛くてね。眠っているリーファに、僕の体液・・を擦り込んで、リーファを僕の魔力で覆ったんだ。はじめに体内にまで魔力を注げたのはいつぐらいだったかなぁ……流石に小さすぎてね。少し・・時間がかかったよ」

 流石に2歳では無理だったらしい。
 でも、その時の幼い僕でも思い出しているのだろうか、義兄上はうっとりと目を細め、まるで自慢でもするかのようにそう話す。
 僕は少しだけむっとした。
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