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第一章・リーファ視点
1-59・知らない誰か⑦
しおりを挟む目の前で誰かが殴られている所を見て、どうして平気でいられるだろうか。
「ぅあっ! がっ! あっ!」
ゴッ、ゴッ、ゴガッとかわいそうな人が何度も殴られている。何度も、何度も何度も。
かわいそうな人は抵抗なんてしていない、あの怖くて汚い男の人の成すがまま、殴られる度に、頭や体を床に打ち付けて。
服を、男の人に捕まれているせいもあって、とてもじゃないけれど逃げられそうになくて、殴られ続けていて。
「いや、いや、いやっ! やめて!」
「うるっせぇーつってんだろっ!」
がつんっ!
かわいそうな人は当たり前だけど、呻くぐらいで何も言っていなくて、声を上げているのは僕で、だから煩いのは僕のはずで。
なんで、なんで、なんで?!
うるさいというのなら、それは僕でしょう?! なんであの人が殴られているの?! あの人は僕の代わりなの?! どうして……っ!
「ぃやぁっ……」
視界が滲んだ。どうすればあの男の人を止められるのかわからない。このままじゃあのかわいそうな人は死んでしまう。
僕の代わりに殴られたせいで!
ついにはしゃくり上げ始めた僕を見て、殴るのをやめた男の人が声を立てて笑う。
「は! はは、ははははは! そうだ、その顔だ! 王子様よぉ! いい気味だぜっ! はは! おい、お前ら、押さえろ」
男の人の指示で、同じ部屋にいた他の人が押さえつけたのはやっぱり僕じゃなかった。
だってあの人達もやっぱり誰一人、僕には近づけないから。
僕の代わりに、あのかわいそうな人が押さえつけられている。
もはやぐったりとして、抵抗なんて到底出来そうもないかわいそうな人を、それでも押さえつけるのは、多分、あの人が僕の代わりだからだ。
僕を押さえつける代わりにあの人が押さえつけられている。
男の人がかわいそうな人の身に着けていた、やっぱり薄汚れて汚い服を破りながら剥ぎ取った。
かわいそうな人の足を、押さえつけている人たちが大きく開かせる。
その体勢と、ギラギラした気持ちの悪い薄暗い笑みを浮かべた男の人の顔で、男の人があのかわいそうな人に何をしようしているのかが分かった。
もしかしたら、少し前までだとわからなかったかもしれない。
でも今の僕は毎晩、義兄上に魔力を注いで頂いていて、それはつまり、僕のお尻の穴に、義兄上の股間にある雄の象徴を挿し入れて貰っているということで。
あの、男の人は今から、かわいそうな人にそうするつもりなのだ。
証拠に男の人の股間は固く勃ち上がっているように見えた。
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