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第一章・リーファ視点
1-32・公邸での歓待①
しおりを挟む「ようこそいらっしゃいました! エピェリュジオ皇帝陛下」
辿り着いた公邸では、物凄い歓待を受けた。
そもそも、公邸というか、その場所はむしろ城のようだった。
公国を治める大公が住んでいる場所なのだから、ある意味、城であっている。
とても広くて立派で美しい。国の象徴たるに相応しい場所。ただしもちろん、ナウラティスの王宮とは比べるべくもなく、あえて言うなら義兄上のお父さんとお母さん、つまり、書類上の僕の義父上と義母上が義兄弟達と一緒にお住まいになっていらっしゃる、離宮と同じぐらいの大きさと規模じゃないかなと思う。
ちなみに兄様が今、ナウラティスでお住まいとしていらっしゃるおうちはもっと小さくて狭いよ!
多分、普通の他の貴族のおうちよりも狭いくらい。それでも充分だしむしろ広いっておっしゃっていらした。
「どうせほとんど国にいないのに、これ以上の広さなんて管理しきれない」
ですって。
兄様の伴侶さんは冒険者で、色々な所を旅してまわっているんだ。兄様も、何か御用がない限りは同行してるみたいで、余計に広いおうちなんていらないんだって。
多分、今、兄様がナウラティスで一番多くいらっしゃる場所は結局、王宮なんじゃないかなと思う。
よく僕の様子を窺いに来てくださるからね。わざわざ他の国から転移魔法で戻ってきて、僕に会いに来てくださってるんだよ! 心配なんだって。
僕はもう大人なのになんでだろうね?
よくわからないけど、兄様に会えるのは嬉しいから、まぁいいかと思っている。
とにかく、このドゥナラルの公邸に入ったらすぐに、大公が出迎えに来てくれていて、その横に二人の公女様が立っていらしたんだ。
本当は大公妃様とか他にも何人もいらっしゃったんだけど、僕がわかったのはその二人ぐらい。否、印象に残っているのは、と言ったらいいだろうか。
あの日、義兄上とご一緒だった第一公女様と、以前に来た時、どう考えても義兄上に好意を抱いたらしかった第二公女様だ。
さっき、義兄上にエスコートされて馬車から降りる時に、一瞬、突き刺さった視線は第二公女様からのものだろう。
僕は少しだけ戸惑った。
今回はただ同行しただけじゃなくて、お仕事を教えてもらう予定で来ている。顔には出さないようにしなくっちゃと気持ちを引き締めていると、にこにこしながら義兄上とご挨拶をしていらした大公閣下の視線が僕へと向かってきた。
「そして、そちらが……」
「ええ、ご存じでしょう? リーファです。彼の皇后陛下の忘れ形見。今回は仕事を教えるつもりで同行させました」
義兄上が僕を紹介して下さったので、僕は一歩前に出て礼を取る。
「お久しぶりです、大公閣下。リアファディエ・ジルサ・ナウラティスです」
にこと微笑みながら名乗った僕への大公からの視線は、どうしてだろう、値踏みでもしているかのようだった。
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