30 / 148
第一章・リーファ視点
1-29・視察②
しおりを挟むそんなの出来るわけないだろうって。離れられるわけがない、心配できっと視察どころじゃなくなってしまうっていうのが義兄上の言い分。
途中で一度帰ってくればいいって兄様が言って、で、最終的に、僕はどうしたいのかって聞かれて、だから僕は行きたいって言ったんだ。
だって楽しみにしていたし、僕ももうじきお母さんになる。父親が誰だろうと、僕のお腹の子供だって王族だ。なら、そういう意味も含めてちゃんと、王族としての仕事も今後は知っていかなければいけないって思っていたから。
子供は産まれてからも義兄上が一緒に育ててくれるって言っていて、
「だって私の魔力で育ったんだよ? だったら私の子供じゃないか」
って! 生まれる時に取り上げてくれるのも、義兄上がしてくれる予定だよ!
そうなるとこの子は、実際はどうあれ、義兄上の第一子ということになる可能性が高い。もしかしたら次の皇帝になるかもしれない。
元々の核が、たとえ誰の種であっても、そんな風に義兄上だけの魔力で育って、義兄上の魔力で生まれてくる子供は、半分以上義兄上の子供ってことになるから、当たり前の話だった。
そもそも、血筋だけ見ても、僕の子供っていうだけで王位継承権は発生しちゃうんだよね。だって僕、兄様の実弟だし、王族の血っていうだけなら、義兄上より濃いんだ。というより代を経てないから薄まってないっていうのかな?
義兄上は兄様の曾孫で、そこに辿り着くまで、片親にほとんど王族の血が入っていない人が続いている。
特に兄様の伴侶さんは異世界から転移してきた、この世界の人ですらない男の人。その時点で半分だもの。義兄上のお母さんのお父さんは兄様の義理の兄弟、つまり僕自身の義理の兄弟でもあるんだけど、血は繋がっていなくて、やっぱり王族としての血自体は薄くなっているんだって聞いてる。
その辺り、僕の父様は皇帝だったし、母様も、父様よりも王族の血が濃い公爵家出身の人で、おまけに母様譲りの魔力に髪と目の色の僕。
そんな僕と、義兄上の魔力で生まれてくる子供。
僕の生む子供がどれぐらい重要かはそれだけでもわかるっていうものだ。
だったら余計に、僕もいろいろと頑張らないとって思っている。今までは魔術師塔で魔法や魔術の研究をしているばっかりでほとんど何もしていなかったけれど、それじゃダメだって。視察はその第一歩だと思った。
実は代わりに兄様やヴィーフェが行くっていう話も出たんだけど、先方から出来れば義兄上本人にいらして頂きたいっていう指名があって、あんまり無下にも出来なかったみたい。
他にも何か意図があるのかもしれないけれど、それについては僕は知らされていない。
とにかく、そんな事情で僕は義兄上と視察に行くことになったんだ。
属国とは言え、一応は国の外。ドゥナラル公国へと。
※義兄上のお母さんのお父さん=グローディ。義兄上のお母さん(?)がグローディとレシアの子供です。
12
お気に入りに追加
1,571
あなたにおすすめの小説

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
博愛主義の成れの果て
135
BL
子宮持ちで子供が産める侯爵家嫡男の俺の婚約者は、博愛主義者だ。
俺と同じように子宮持ちの令息にだって優しくしてしまう男。
そんな婚約を白紙にしたところ、元婚約者がおかしくなりはじめた……。
宰相閣下の執愛は、平民の俺だけに向いている
飛鷹
BL
旧題:平民のはずの俺が、規格外の獣人に絡め取られて番になるまでの話
アホな貴族の両親から生まれた『俺』。色々あって、俺の身分は平民だけど、まぁそんな人生も悪くない。
無事に成長して、仕事に就くこともできたのに。
ここ最近、夢に魘されている。もう一ヶ月もの間、毎晩毎晩………。
朝起きたときには忘れてしまっている夢に疲弊している平民『レイ』と、彼を手に入れたくてウズウズしている獣人のお話。
連載の形にしていますが、攻め視点もUPするためなので、多分全2〜3話で完結予定です。
※6/20追記。
少しレイの過去と気持ちを追加したくて、『連載中』に戻しました。
今迄のお話で完結はしています。なので以降はレイの心情深堀の形となりますので、章を分けて表示します。
1話目はちょっと暗めですが………。
宜しかったらお付き合い下さいませ。
多分、10話前後で終わる予定。軽く読めるように、私としては1話ずつを短めにしております。
ストックが切れるまで、毎日更新予定です。
大嫌いだったアイツの子なんか絶対に身籠りません!
みづき
BL
国王の妾の子として、宮廷の片隅で母親とひっそりと暮らしていたユズハ。宮廷ではオメガの子だからと『下層の子』と蔑まれ、次期国王の子であるアサギからはしょっちゅういたずらをされていて、ユズハは大嫌いだった。
そんなある日、国王交代のタイミングで宮廷を追い出されたユズハ。娼館のスタッフとして働いていたが、十八歳になり、男娼となる。
初めての夜、客として現れたのは、幼い頃大嫌いだったアサギ、しかも「俺の子を孕め」なんて言ってきて――絶対に嫌! と思うユズハだが……
架空の近未来世界を舞台にした、再会から始まるオメガバースです。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
リクエストの更新が終わったら、舞踏会編をはじめる予定ですー!

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる