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第一章・リーファ視点
1-3・僕のこと②
しおりを挟む僕はもうじき25歳になる。
5つ下の甥っ子も去年成人した。
だけど今ではもう、甥っ子と僕が並んでいると、甥っ子の方がずっと大きくて、間違っても僕の方が年上には見えないし、そもそも僕は今まで年齢通りに見られたことが一度もない。
否、小さい時はそうでもなかったんだ。だいたい、5歳か6歳ぐらいまでは。
なのにその後は僕はちっとも大きくならなくて、うちの国では19歳が成人となるのだけれど、成人したって精々が12歳か、13歳ぐらいにしか見えず、最近ようやく、14歳か15歳ぐらいには見えるようになってきていた。
魔力の多い子供だと、ごくごく稀にあることらしい。多分成長がゆっくりなんだろうって。
兄様に、
「リーファはちょっと幼いところがあるから、その所為かもね」
なんて言われて、失礼だなぁと思いながら、だけど自分でも否定しきれなかった。
自分でも自覚しているんだけど、僕はどうやら甘えん坊みたいで、特に義兄上にはたくさんたくさん甘えてしまう。
いまだに膝の上に乗ったりしているんだけど、そんなこと、疾うに成人した同性同士の兄弟でなんか、するはずがないことなんだもの。でもこれは義兄上も悪いんだ。だって、
「リーファが甘えてくれなくなると、私は寂しくて泣いてしまうね」
なんて言ってくるんだ。義兄上を泣かせたらかわいそうでしょう?
そんな風に、僕が幼いって言うのは本当で、でもみんなそれでいい、そういうこともあるって言うから、僕は全然気にしなかった。
13歳から18歳まで通った帝立学園でも、僕はずっと小さいままだったけど、皆、可愛がって大切にしてくれたから、そんなものかな、皆と友達になれてよかったって僕は思っていた。
学園を卒業してからも、僕は王宮を出ず、自立なんてしていない。
義兄上も兄様も別にずっといてもいいって言ってくれてるから、その言葉に甘えてるんだ。
元々僕は王族としての仕事なんてほとんど何もしていなくて、唯一と言ってもいい僕の役目は、数年に一度、国の結界を張り直すこと、それぐらい。
ナウラティスには国全体を覆うような、悪意や害意を弾き出す守護結界が施されていて、これは王族の中でも限られた人間しか張り直せないものなんだ。
今、この国でこの結界の張り直しが出来るのは僕と兄様だけ。義兄上でも少し難しいんだって。
ちなみにもうなくなってしまった僕の本当の父様と母様と、後は他国へお嫁に行ってしまった3番目の兄様だとか、やっぱり他国にいる、一番下の兄様だとかはできたのだそうだけど、結局、国内にいるのは僕と兄様だけ。
どういう理屈なのかだとか、詳しいことはよくわからないのだけれど、だからこれは僕の一番重要な仕事なんだ。
それ以外で僕がしているのは、主に魔術師塔での魔術の研究。
魔力が多い僕は母様と一緒で魔法や魔術が得意だし、そういうのが好きだからね。
そんな僕の研究も役に立つことはあるみたいで、結局、僕は日々、そうやって好きなことだけして過ごしていた。
※2番目の兄=アーディ、3番目の兄=ディリー、一番下の兄=リオルシャナ。
※作中の『兄様』は主にアーディのことを指している。
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