【完結】身に覚えがないのに身ごもりました。この子の父親は誰ですか?

愛早さくら

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第一章・リーファ視点

1-1・僕のこと①

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 僕の名前はリアファディエ・ジルサ・ナウラティス。
 ここ、ナウラティス帝国の皇帝エピェリュジオ・パンレソイ・ナウラティスの義弟になる。
 義弟という言い方でわかるとおり、現在の皇帝たる義兄上あにうえと僕は本当の兄弟じゃない。
 先々代皇帝と皇后だった僕の両親は、僕が2歳の時に亡くなってしまっていて、その時に僕は義兄上に引き取られたからだった。
 否、正しくは義兄上のご両親が義母と義父になる。義兄上には伴侶がいなかったのでそうなった。
 だけど僕を育ててくれたのは義兄上だ。
 義兄上のご両親はその時すでに王宮におらず、僕は義兄上を親代わりとして王宮で育ったのだった。
 ちなみに、僕の本当の両親の死因は老衰・・だ。
 享年150歳。魔力が多いゆえに寿命が長い傾向にある高位貴族や王族の中でも長生きな方なので、大往生と言えるだろう。ただし、それほど珍しい享年とは言えない程度。
 本当は母様の魔力量だと、もっと長く生きることも可能だったはずだとも聞いている。その証拠に、死ぬ間際まで見た目やそういった物にほとんど変化はなかったのだそうだ。
 僕が生まれたのは両親が148歳の時で、本当は母様はそんな年で、もうじき死ぬ予定なのに子供なんて作るつもりも生むつもりもなかったのだけれど、父様をはじめ、子供たち、つまり僕の兄様や姉様たちが寄ってたかって説得して、何とか僕を産んでもらったんだって。僕がいることで、少しでも長く母様が生きていてくれないかなぁって願って。
 子煩悩な母様だったらしいから、せめて子供の成人までは生きてくれるんじゃないかなってほんのちょっぴり希望を抱いていたそうなのだけれど。
 ちなみに、本当に寿命が150歳ぐらいの人は、そんな年齢で子供を作れたりはしない。その辺り、母様が本当はもっと生きられた証拠なんだって。
 でも、結局、母様は初めの予定通り150歳で死んでしまった。
 母様が死んで、父様だけが生きていられるはずもなく、同じ年に父様も。
 元々母様が願ったから・・・・・・・・父様も生きていたので、どちらにせよ、父様一人じゃその先も長くは生きられなかったんじゃないかって聞いている。
 上から2番目の兄様が言っていた。
 母様は精神的にはとっても普通・・だったそうだから、多分耐えられなかったんじゃないかって。普通の人間・・・・・はそう長く生きられるような精神構造をしていなくて、長く生きれば生きるほど精神と言えばいいのか、生命力と言えばいいのか、そう言うものが摩耗していく。
 母様は父様や兄様、姉様たちが思うよりずっと摩耗していたんだと思う。
 だから、体とか魔力とか寿命とかの問題だけならもっと生きられても、精神とかそういう意味で生きられなかったんだろうって。
 実際100歳を過ぎた頃からはなんだかいつも疲れているようにも見えたそうだから、そういうことだったんだろうねって。
 自分たちは母様に無理を強いすぎたのかもしれないって、話してくれた兄様は、少し寂しそうだった。
 とにかく、早くに両親を亡くした僕は義兄上に引き取られた。
 初めは、兄様や姉様が引き取るって話になっていたそうなのだけれど、義兄上が引き取るって言い張ったんだって。
 なんでも、先々代皇后だった母様が産んだ最後の子供なんだから、王宮で育てるのが相応しいとかなんとかかんとか。
 あんなのただのこじつけ・・・・だよって兄様が言ってた。
 でも僕は義兄上に引き取られてよかったと思っている。
 王宮だとか王族だとかそういうのはどうでもいい。
 だって、ただ僕は義兄上が大好きなんだ。
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