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プロローグ
0-0・始まりは突然に
しおりを挟むすぐに気づいた。
え、なんで?
僕は戸惑って自分の下腹部に手を置いた。
あたたかい魔力が満ちている。
そこには自分の魔力しか感じられない。だけど。
とくり、自分のものとは違う脈動がそこにはあった。
え、本当に、なんで。
わからない。どういうことなのだろう。どうしてこんなことになったのか。
さっきまでを思い出す。否、思いますのはさっきのことだけではない、言うなればこれまでのこと全て。
だが、どれだけ記憶を探っても、心当たりなど全くなかった。にも関わらず、自分の腹にはぬくもりがあって。
とくり、とくり、存在を主張している。
これは間違いなく……――新しい、生命。
そう、僕のお腹の中には今、子供が宿っているのである。
本当に全く分からない。どうしてこんなことになったのか。
だって魔力は僕のものしか感じられないし、そもそも心当たりが全くないし、だけど子供は1人では作れない。
必ず、自分以外の誰かが必要だった。
つまり、この、今、僕のお腹の中で成り始めた子供には間違いなく父親がいるということで。
それは一体誰なのだろう。
僕は混乱のまま、両手でお腹を抱え蹲って。そうして本当に途方に暮れた。
それは僕が、誰だかわからない相手の子供を自分の腹へと、身ごもった瞬間なのだった。
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